作業療法士(OT)の働く現場の1つにクリニックという選択肢があります。

クリニックは職場の規模として決して大きくはありませんが、実は職場によってOTとして提供するリハビリの内容が大きく変わるため、自分に合ったクリニックを選択すればとてもやりがいのある職場になるでしょう。

そこで今回は、OTがクリニックで働いた場合の仕事内容と魅力について詳しくご紹介してきます。

1.そもそもクリニックとは

クリニックとは医院や診療所とも言われ、入院病床のないまたは19人以下の患者さんが入院できる医療施設のことを指します。

病院は複数の診療科があったり、最先端治療に取り組んでいる国立・大学病院などを差し、比較的重症度が高い場合や緊急性の高い患者さんを受け入れることが多いです。

それに対し、クリニックでは比較的軽傷の病気・ケガの場合や、慢性期疾患の患者様を短期または長期的に診ていく施設になります。

クリニックは病院とは異なり、専門科が限られているため所属する医師や何科を専門とするクリニックかによって患者さんの疾患や提供するリハビリも異なります。

何よりクリニックの一番の特徴は、地域密着型が多いという点です。入院期間が限られており患者さんの入れ替わりの多い病院と違い、病気や障害を抱えながらも地域で暮らす人をより近くで長期的に支えていけることがクリニックで働く魅力とも言えます。

2.クリニックにおける作業療法士(OT)の業務内容

クリニックに勤務しているOTの場合、入院病床の有無にもよりますが、入院患者さんと外来患者さん両方のリハビリを行っていきます。

時間業務内容
08:30~09:00ミーティング、準備
09:00~12:30入院・外来リハビリ
12:30~13:30昼食
13:30~15:00入院リハビリ
15:00~17:00入院・外来リハビリ
17:00~17:30掃除(この後、勉強会が入ることも)

病院勤務に比べ、業務終了後の勉強会や症例検討などは少ない傾向にありますが、クリニックでも週に1回もしくは月に1回などリハビリテーション科内や多職種での勉強会が行われます。

3.クリニックで働くメリット

クリニックと聞くと、施設規模が小さく従業員も多くはないイメージがあり、働くメリットはすぐに思い浮かばないかもしれません。

しかし、クリニックは施設毎に特色が異なり、自分に合った職場を選択すればとてもやりがいのある魅力的な職場でもあるのです。

クリニックで働くメリットを具体的に3つご紹介していきます。

地域密着型で寄り添ったリハビリを提供できる

重症度や緊急性の高い疾患を対応する病院に比べ、クリニックでは日頃のちょっとした不調、ケガなどでも気軽に受診できる場所であり、その地域で暮らす人たちの支えでもあります。

しかし、クリニックでのリハビリが、簡単とかやりがいがないということではありません。

例えば、神経内科を専門としているクリニックであれば、脳卒中や神経難病など珍しい疾患のリハビリを行うことももちろんありますし、病気や障害を抱えながらもその地域で生活するために、様々な職種や他施設と連携して支えるというとても大事な視点を実践の中で学ぶことができます。

近年では、地域包括ケアシステムなどの動きもあり、よりOTが地域の中で活躍することが求められています。

クリニックは、“生活を支える”というOTならではの力をより発揮できる職場の一つであると私は感じています。

長期的に患者さんをサポートできる

規模の大きな病院で脳卒中や骨折などで入院した場合、急性期・回復期ともに入院できる日数に限りがあるため、OTとしてもリハビリを提供できるのは病院の中での限られた期間となります。

対してクリニックの場合、症状が安定し自宅退院後はしばらく在宅生活を送りながら外来リハビリで経過を追えたり、神経難病などで症状が悪化した場合などには外来リハビリから入院リハビリに切り替えて集中的にリハビリを提供するなど、その方の状態に合わせて長期的に診ていくことができます。

OTにとって、その方の生活をより身近で知り、生活全般のサポートができるということは一番のやりがいなのではないでしょうか。

自分の専門とする分野を極めることができる

内科や神経内科、整形外科など、クリニックではそれぞれ専門とする科が異なります。特定の領域に特化していきたい、集中して学びたいという方には嬉しい環境と言えるでしょう。

例えば、病院勤務で整形外科やスポーツリハビリというと理学療法士(PT)のイメージが強く、OTでは学びたくても経験を積むには時間を要する場合が多いです。

しかし、整形外科クリニックであれば、様々な整形外科疾患に対するリハビリ手技を実際に経験を積みながら習得していくことができ、病院より早く多くの患者さんと向き合うことができます。

4.クリニックで働くデメリット

専門科や地域密着型でリハビリを提供できる魅力がありながらも、やはり病院勤務を選ぶ人が多いということからも、クリニックならではのデメリットというものも存在します。

下記で紹介するものは、クリニックによっても異なるため、気になる施設があれば事前に確認しておくと良いポイントでもあります。

教育体制が十分に整っていない場合がある

クリニックでは、同じ職場で働くOTが少人数の場合が多いです。始めは先輩OTに付きながら教えてもらいますが、限られた人員体制の中でそれぞれの役割をこなしているため、比較的独り立ちするのも早く、即戦力として必要とされます。

もちろん、実践をこなしながら身近な先輩に何でも相談できる環境であれば、OTとして成長できる良い職場ではあります。

しかし、経験年数が浅い場合で教育体制が十分に整っていないクリニックに入職する場合には、正しい経験や知識を習得するのに時間を要してしまうことになります。

経験年数が浅い中でクリニックを選ぶ場合には、教育体制や研修制度など学びや経験を積める環境が整っているかを確認すると良いでしょう。

経験できる重症度や疾患に限りがある

診療する専門科が限られているクリニックでは、リハビリ対象者の方の疾患や病期もある程度限定される場合があります。

例えば、神経内科を専門とするクリニックに勤務し、入院もしくは外来リハビリで回復期以降長期的に関われたとしても、急性期リハビリを実施する機会はほとんどありません。

また、様々な疾患の症例を診たいという方にとっては、クリニックでは偏りや不足を感じる可能性が考えられます。

給料UPは大きく見込めない

作業療法士の職場としてクリニックは決して低い給料ではありませんが、地域や施設によって違いがあります。

整形外科クリニックの場合比較的給料は高い傾向がありますが、その他の神経内科や複数科を専門としているクリニックの場合、初任給からの昇給が大きく見込めない傾向が多いです。

実際に私の勤務していた神経内科を専門とするクリニックも、福利厚生や働く環境としては良かったですが、継続して勤務していったときの昇給があまり見込めませんでした。

5.まとめ

OTがクリニックで働いた場合の仕事内容やメリットデメリットをご紹介してきましたが、いかがでしたでしょうか。

私はOT始めの職場としてクリニックを選びました。

始めはやはり大きな病院で様々な症例を診て、経験を積んだ方が良いのでないかと思っていましたが、より地域に出て、対象者の方の生活を診てこそOTが活きると考え、その地域に根差した小さなクリニックを就職先として決めたのです。

実際にクリニックで働き、他では経験できない数多くの珍しい症例の方を担当させていただきました。

障害を克服し社会復帰するまでや、進行していく難病に対して亡くなるまでの生活支援をご家族と一緒に行うなど、OTとしてとても大事なことを経験することができたと思っています。

クリニックの特色を理解し、ぜひあなたに合った職場を見つけてみてください。
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