スポーツトレーナーと聞くと、理学療法士(PT)のイメージを持つ方が多いかと思いますが、作業療法士(OT)も同様にトレーナーとして活躍することができます。

しかし、スポーツトレーナーと一口に言っても、種類や特徴はそれぞれ異なり、目的が分かれているのです。

今回は、スポーツトレーナーの種類をご紹介すると共に、OTがトレーナーになるための方法やメリット・デメリットを具体的に解説していきたいと思います。

1.トレーナーの種類

スポーツトレーナーは、主に4つの種類に分かれます。

選手のケガの対応や万全な状態で臨めるよう健康管理等を行うアスレチックトレーナー、より医療的側面から運動機能の回復をサポートするメディカルトレーナー、選手の能力をより高めるために食事やトレーニングメニューなど多方面からアプローチするストレングストレーナー、そして、試合前に選手のコンディションを整えるコンディショニングトレーナーです。

これらのトレーナーは、理学療法士(PT)が専門として行っている割合が高いですが、OTも活躍しており、得意としている細かな手指の動きや上肢機能面において、選手をサポートしていることが多いです。

スポーツトレーナーという国家資格はなく、スポーツトレーナーとして活躍している方の中には、PTやOT、柔道整復師、鍼灸師などの国家資格を取得している方が少なくありません。そして、それらの資格にプラスして、それぞれの分野に必要な民間の資格を複数取得しています。

2.作業療法士(OT)とスポーツトレーナーの違い

作業療法士(OT)とスポーツトレーナーでは、働く現場や仕事内容も異なってきます。

中には、OTとして整形外科に勤務しながら、メディカルトレーナーとして活躍しているOTもいますが、まずはそれぞれの特徴や違いについて理解してみましょう。

スポーツトレーナーの仕事内容

OTがスポーツトレーナーとして働く場合、主に2つのパターンに分かれます。

1つはスポーツ整形外科などを専門とする病院に勤務し、選手のメディカルトレーナーとして活躍する場合。

2つ目は、OTでありながら各専門トレーナーの資格や鍼灸師などの資格を取得し、独立してスポーツトレーナーとして活躍する場合になります。

整形外科の病院等に勤務しながらスポーツトレーナーとして働く場合には、主に上肢のケガや手術に対するリハビリを専門として、ハンドセラピーやスプリントなどの装具作成を行ったりします。

独立してスポーツトレーナーになる場合には、上肢だけに限らず選手の全身サポートやトレーニングプログラム作成、精神的なサポートまで幅広く行っていきます。

OTとの仕事の違い

OTは病院や施設等で医師の診断の元リハビリを提供します。対象の年齢も小児から高齢者まで幅広く、日常生活や仕事復帰のために行われることが多いです。

対象やリハビリ内容が幅広い通常のOTに対し、スポーツトレーナーの場合は、対象の年齢層が限られ、競技や選手によって必要となる知識や技術がより専門的で高度になるのが特徴です。

注意していただきたい点は、スポーツトレーナーは国家資格ではないため、医療行為を行うことができないということです。スポーツトレーナーとして、治療やリハビリのために医療行為を行う場合には、PTやOTといった国家資格を有していることが重要になってくるのです。

2.スポーツトレーナーになるメリット・デメリット

医療や身体のことについて学んできている作業療法士(OT)として、スポーツトレーナーになり選手をサポートしたいと思うことは、とてもやりがいのあることだと思います。

OTがスポーツトレーナーになるメリット、そして気をつけたいデメリットをしっかり理解した上で、目標に進んでいきましょう。

作業療法士(OT)が目指すメリット

OTとしてスポーツトレーナーで活躍するためには、自分の得意をより極めて強みにしていく必要があります。

幅広い領域を対象とするOTの中には、何か一つを極めたいけどなかなかできないという悩みを抱えている方も多く、そうした思いを抱えている方にはスポーツトレーナーを目指す過程で得られる専門性や方向性を定められることはメリットになるのではないでしょうか。

特に、ハンドセラピーや手の外科はOTが専門とする分野のため、知識や技術を高めることでスポーツ選手からの需要も必ずあると言えるでしょう。

気を付けたいデメリット

一方で知っておいていただきたいのは、スポーツトレーナーの中では圧倒的に理学療法士(PT)の方が人口と需要が多いという点です。PTは運動療法や物理療法を専門としており、スポーツトレーナーとしては一番専門性として相性の良い資格なのです。

そのため、スポーツトレーナーとしての求人ではOTよりもPTの方が多いというのがデメリットとして挙げられます。そんな中でもOTとしての自分の強みを見つけることで必要としている選手は必ず存在します。

3.作業療法士(OT)がスポーツトレーナーになる方法

スポーツトレーナーとして働くためには、スポーツや選手の身体についてより専門的な知識と技術を取得しなければ難しいでしょう。そのため、OTの国家試験を持っていたからといって、すぐ活躍できるわけではありません。

まずは、トレーナーに必要な資格や知識を改めて勉強しながら、スポーツ整形外科などを専門としている病院で経験を積むことが大切です。

そこで自信や実績がついてくれば、スポーツトレーナーとして独立したり、選手側からの依頼がでてくることもあるかもしれません。

4.作業療法士(OT)がスポーツトレーナーとして働く魅力

最後に、スポーツトレーナーとして働く魅力を2つご紹介します。

選手がより良くなるために近くでサポートできる

スポーツ選手を近くでサポートできることは、限られた職種、選ばれた人にしかできないことです。

さらに、全ての対象者が良くなるとは限らない現実のある通常のOT業務に対して、スポーツトレーナーは、より高みを目指してサポートできる仕事であり、やりがいをより多く感じることのできる職業だと言えるのです。

自分の力を存分に発揮できる

病院や施設で働く中では、制度や時間に限りがあり、提供できるリハビリに限界があることも少なくはありません。

しかしながら、スポーツトレーナーでは、必要な知識や技術を修得し独立することで、選手に対して自分の力を存分に発揮することができるのです。それは、選手の状態や結果としても帰ってくるものであり、より高みを目指して選手と共に成長していきたいというモチベーションにも繋がっていくでしょう。

5.まとめ

作業療法士(OT)でスポーツトレーナーを目指す人は決して多くはありません。

しかしながら、医療や身体について学んできているOTはトレーナーとして活躍するための土台はしっかりと備わっているはずです。

挑戦してみたいトレーナーの種類によって、必要な知識や技術を修得することで、活躍できる場は必ずあります。

スポーツトレーナーとしてPTよりもマイナーなOTだからこそ、貴重な存在として需要があるとも言えますので、ぜひ目標に向かって挑戦していってほしいと思います。

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