作業療法士(OT)が働く職場には、様々な施設、領域があります。その中でも一番メジャーなのが身体障害領域であり、脳卒中の患者さんを対象に行うリハビリと整形外科疾患の患者さんを対象に行うリハビリでは実施する内容も異なります。

整形外科の場合、一般的には理学療法士(PT)のイメージが強くあるかと思います。しかし、骨や筋肉など解剖学的な知識がとても重要で、OTとして実践を積みながら手技を学びたいという方にとって魅力的な職場だと言えるのです。

今回は、そんな整形外科でのOTとしての仕事内容と役割についてご紹介していきます。

1.作業療法士(OT)が整形外科で求められる役割

整形外科疾患を対象とする場合には、他の領域・疾患に比べ対象の年齢層が広いことが一番の特徴です。主な対象疾患は、骨折や外傷、肩関節疾患、脊髄損傷、変形性股関節・膝関節症などが挙げられ、手術前後で関わることもあります。

リハビリの介入期間としては、原則150日以内で、患者さんの状態に合わせて入院リハビリから外来リハビリに切り替わる場合もあります。

整形外科疾患の場合、OTとして直接的な徒手療法を行うことが多いです。比較的若い患者さんも多く、手術により状態が大きく変わるため、他の領域・疾患よりもリハビリ介入してからの変化や効果は見えやすいという傾向があるのです。

その一方で、脊髄損傷や欠損などで、身体機能面での回復がある一定以上は難しいという判断が早期につく領域でもあります。そんな方にも、生活や仕事など目的に合わせて装具や福祉機器の検討をしていくノウハウが必要となります。

2.作業療法士(OT)の整形外科での仕事

OTとして整形外科で働く場合、それぞれ対象とする疾患によって介入方法やチームでの役割が変わってきます。整形外科疾患の中でもOTとして介入する代表的な3つのパターンに分けてそれぞれご紹介していきます。

手外科を対象とする場合

手外科とは、肘~手指までの骨折や脱臼、外傷、変形性関節症、手根管症候群など手の疾患・障害に対して行われる専門的な分野です。ハンドセラピィとも呼ばれ、特に上肢を診ることの多いOTとしては、整形外科でより専門性を発揮できる分野とも言えます。

手外科の場合、対象の患者さんは小児から高齢者まで幅広く、疾患や障害の程度も多様となります。

誰しも手は生きていく中でとても重要な役割を占め、柔軟かつ繊細な動きができる部位でもあるため、OTとして提供するリハビリや補助具の活用はその方にとって大きな意味を持ちます。

患者さんの生活や仕事にも関わってくる重要な分野であるため、主治医との情報共有はもちろんのこと、義肢装具士やソーシャルワーカー、ご家族や職場の方などとも連携し、QOLの向上や職場復帰などに向けた支援が必要になってきます。

脊髄損傷を対象とする場合

脊髄損傷の場合、他分野に比べ、比較的患者さんの年齢層は若い傾向にあります。

そして、できる限りの回復に向けたリハビリも重要ですが、障害を抱えながらもこれからの人生を生きていくための車いすの選定やADL訓練、自助具の製作、環境設定など、OTとして多方面へのアプローチが必要です。

患者さんが、障害を抱えながら今後生活していくためには理学療法士(PT)や言語聴覚士(ST)、看護師、ソーシャルワーカーなど、それぞれの専門性を活かし共有しながら、生活全体をサポートしていくことが重要になってきます。

高齢者の骨折を対象とする場合

高齢者は骨粗鬆症や身体機能の衰え等で、転倒しやすくなり、骨折するリスクが高いです。転倒による大腿骨骨折はとても多く、ほとんどの場合手術を行います。

術後の痛みのケアや筋力強化、関節可動域訓練から、徐々に歩行練習へと続き、退院に向けてADL訓練を実施していきます。

高齢者の骨折の場合、今後の転倒リスクを減らすための環境設定や、脱臼予防のための生活指導などがとても重要となってきます。

特に、移動面においてはPTと連携しながらリハビリを実施し、退院後の生活に関しては、ケアマネージャーやご家族、ヘルパーへの情報共有がOTとして必要です。

3.整形外科のスケジュールや勤務イメージ

整形外科に勤務するOTの場合、入院施設もしくは外来のみを対象とする施設によっても働き方は多少異なってきます。

今回は、入院・外来どちらも対応している施設の例を取り上げ、OTとしての業務内容とタイムスケジュールをご紹介していきます。

時間業務内容
08:30~08:50朝礼、ミーティング
08:50~09:00準備
09:00~12:30入院・外来リハビリ
12:30~13:30昼食
13:30~14:00院内カンファレンス
14:00~15:00入院リハビリ
15:00~17:00外来リハビリ
17:00~17:30掃除・カルテ記入
18:00~業務終了後、勉強会があることも

4.作業療法士(OT)が整形外科で働く魅力

整形外科でリハビリをするということは、一般的に理解されているリハビリ業務に一番近いのではないでしょうか。

高齢者を対象とする老年期疾患の場合、維持や予防のための介入が重要となりますが、対象とする年齢層が比較的若く、他の領域に比べて、より多くの患者さんの回復していく過程を診られるというのが整形外科の一番の魅力だと思います。

整形外科に特に必要な知識は、OTとしてある意味どの分野でも基本となる身体構造や解剖学的知識です。

急性期・回復期病院でも整形外科を対象とすることはありますが、多様な疾患に対する経験を積める半面、一つの分野を極めるためには時間を要します。

整形外科を専門とする職場で働くことで、よりOTの基本となる身体機能面へ徒手療法や社会復帰へのサポート、より専門性を必要とするスプリント製作の技術などを実践のン下で学ぶことができるのです。

5.まとめ

今回は、整形外科での作業療法士(OT)の仕事と役割についてご紹介してきました。

リハビリに携わる職種として、解剖学的知識や身体機能面へのアプローチの手法はとても重要で、今後どの分野に進むとしても必要なものです。

その知識と技術を実践の中で学んでいける整形外科は、やはりOTとして魅力的ですよね。

まだ経験の浅いOTも、整形外科に興味があって専門性を極めていきたいOTも、挑戦する価値のある分野だと思います。

こちらの記事を参考にして、これからOTとしてどのような経験を積んでいきたいか考えてみてください。皆さんの職場選びの参考になると幸いです!
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