言語聴覚士(ST)を目指していると、ST就活について不安になることもあると思います。STはリハビリ職であり、病院や介護施設などへの就職が多く、一般企業への就活とは少し異なります。

今回は、STの就活に備えて、どのようなことに注意しておくべきか、就活を成功させるためにやってはいけないポイントについて解説します。

1.就活の適切な準備ができていない

言語聴覚士(ST)の就活は多くの場合、最終学年になってから始まります。最終学年では授業やテストに加えて、8週間にわたる臨床実習に卒業論文などとても忙しい時期とも重なります。また、後半になると国家試験対策も大詰めを迎え、時間的な余裕が少なくなります。

学業優先が原則ではありますが、のんびりしていると、希望する施設への応募が終了している、課題で手一杯で就活に手が回らない、学業と就活のどちらも中途半端になってしまい結果が振るわない、ということも考えられます。

そうならないよう、就活時期を迎えるよりも少し早い段階から計画的に準備を進めていくことが就活成功への鍵となります。

就活の準備の中でも時間がかかる、自己分析は自身が目指すST像を考えるためにも必要であり、就職を希望する施設選びの際にも役立てることができますので、早めにやっておいて損はありません。

何からしたらよいのかわからないという場合には、養成校の就活支援センターに相談することで、就活の進め方のイメージができますので、まずは相談から始めてみましょう。

2.言語聴覚士(ST)の面接に落ちてしまう行動

就活で希望する施設に応募し、書類選考を通過すると面接があります。STの就活においても面接は重視される試験の一つですので、ポイントを押さえて臨みましょう。

面接の対策をしていない

STの就活では、試験内容に面接が含まれている場合が多く、筆記試験なし面接のみ実施という施設も多数あります。

一般企業では募集人数も応募者も多く、複数の試験で内定者を絞り込んでいきます。しかしSTの場合は募集人数も応募者も数人~十人程度と少ないため、応募者を振るいにかけるような試験というよりは、応募者の人となりを知るために行われてる場合が多いです。

そのため基本的な動作や質問を中心に面接対策をしておく必要があります。例えば、入室・退室の流れの確認や、「この施設に就職を希望する理由」「学生生活で力を入れていたこと」「臨床実習で感じたこと」「理想のST像」など考えられる質問への受け答えです。

就活時期になると対策授業が開講されたり、就活支援センターでも相談会が開かれている場合もありますので、機会があれば参加してみることをおすすめします。

清潔感のない身なり

就活者全般に共通することですが、特に医療系をはじめとした衛生面に配慮が必要な職種の場合は服装やヘアメイク、爪などの清潔感がとても重要です。

面接官はまず始めに、応募者の服装や雰囲気などをみます。これはいわゆる「第一印象」に含まれるもので、入室してきた際の視覚的な情報から、応募者の人物像がどのようなものか当たりをつけるため、面接においてはとても重視されます。

服装や髪型が乱れていたり、だらしない立ち方をしているなど面接時の印象が悪いと、「仕事の時もだらしないのではないか」「規則を守れないのではないか」など採用した場合の悪いイメージが連想されてしまい、結果として不合格に繋がる可能性もあるため注意しましょう。

一般的に面接にはスーツで臨むことが多いかと思いますが、着慣れていない学生も多いため、男性用スーツのボタンの閉め方などマナーに沿って正しい着用するよう注意が必要です。新しいスーツをおろす場合にはタグやしつけ糸の取り忘れも確認しておきましょう。

また、靴も前日や家を出る前に磨くのはもちろんのこと、移動中に汚してしまう可能性もありますので、到着直前にも確認し、汚れている場合にさっと拭えるよう、ウエットティッシュなどをカバンに入れておくと便利です。

立ち方や歩き方、言葉遣いなどは、つい普段のクセなどが出てしまいますので、少なくとも就活期間中は日頃から気にしておくようにすると良いでしょう。

はっきりと話ができない

STは失語症や言語発達障害など言葉やコミュニケーションをもつ方へのリハビリを扱う職業ですので、面接においてもコミュニケーション能力がみられます。

場の雰囲気に緊張することもあると思いますが、せっかくの機会が無駄にならないように、注意しておきたい5つのポイントをご紹介します。

①表情がよく見えない

「目は心の鏡」や「目は口程に物を言う」という言葉があるように、コミュニケーション場面においては目から得られる情報はたくさんあります。前髪で目が隠れていたり、うつむいてしまって顔が見えないと、表情が読み取れず、自信がない印象を面接官に与えてしまいます。

STとして就職してからも、失語症など言葉を理解しにくい患者さんがセラピストの感情を読み取るための情報になったり、表情をしっかり見せる必要がある場面は多くあります。

そのため顔の表情がよく見えるよう髪をまとめ、しっかりと前を向き、面接官の顔を見て話すことを意識してみると良いでしょう。

②声が小さく聞き取れない

面接の際は、普段人と話すときに比べて面接官との距離があったり、緊張により無意識のうちに小声になってしまうなど、面接官にとって聞き取りにくい状況になってしまう場合があります。

そうなると面接官に自分の話が伝わらないだけでなく、表情と同様に「自信がない」とマイナスイメージに受け取られかねません。

STの訓練場面でも聴覚障害系の施設や高齢者が多い施設では、ある程度大きな声で話すことは基本ですので、普段から声が小さいという人は特に意識的して、相手に十分聞こえる声量で話すよう練習しておきましょう。

③早口で内容が聞き取れない

声量が十分であっても、早口では聞き取りにくくなってしまうことも少なくありません。

自己紹介や志望動機など、あなた自身は面接練習で何度も繰り返してきた内容かもしれませんが、面接官は初めて聞く情報です。早口にならないよう、ゆっくりはっきり話すよう心がけましょう。

ゆっくり話すことで、穏やかな印象にも感じられるため、こちらもSTとして患者様とコミュニケーションをとる際に気を付けておきたいポイントのひとつです。

④トーンや抑揚に変化のない話し方

声のトーンや抑揚を意識して話すということは、言葉に感情を込めて話すということでもあります。同じ文章でも、棒読みで読むよりも、感情を込めて読む方が聞き手に伝わりやすくなるためです。

例えば、「就職した際には○○を頑張りたいと思います」と話す場合、暗い感じや棒読みで話すよりも、明るく元気に話した方が、就職について前向きな気持ちやあなたのやる気を感じとることができます。

STにとって表現豊かなことはコミュニケーション能力の強みでもありますので、意識しておくと良いでしょう。

⑤専門用語にこだわって内容がわかりにくい

面接でSTとしてこれからやりたいことなどを話す際には、レポートのように専門用語を多用しすぎるのも注意が必要です。これは、STの専門用語だけではなく、他の話の中で難しい用語を使用する際にも同じことが言えます。

ST同士のやりとりでは専門用語を使用しても共通の認識ができるため、専門用語が使えるということは必要ですが、面接の場合、面接官はSTだけであるとは限りません。

専門用語や難しい用語にこだわった解答を用意していても、結局何がしたいのかわからなかったり、誤った用法で十分に意図が伝わらないなどの可能性もありますので、きちんと伝わるように話すことが重要です。

臨床の場でも、専門用語を使用したほうが良い場面と、他職種のスタッフや患者様やご家族様など誰にでもわかりやすい言葉を使用した方が良い場面など、状況に応じて使い分けが必要です。

3.言語聴覚士(ST)が就活を成功させるためには

これまで見てきたように、面接で注意しておきたいポイントはSTが患者様とコミュニケーションを取る際に心掛けておきたいポイントと似ている点が多くあります。どれも難しいことではなく、少し気をつけるだけで面接官に与える印象は格段に良くなります。

面接官は面接でのやりとりを見て、「どのような人物か」「どんなSTになりそうか」など、あなたについてのおおまかな予測をたてます。その予測をもとに、「施設に合う人材か」「頑張ってくれそうか」など合否を決定しています。

STらしいコミュニケーション対応は評価や訓練手技などの臨床経験と同様に、様々な場面で少しずつ経験して形になるものですが、面接の段階から意識できていると、面接官のあなたに対する期待値も上がります。

STの就活を成功させるために、早い段階から計画的に準備を進め、面接に臨む際には、質問に対する回答を考えておくだけでなく、STらしい立ち居振る舞いで臨むと良いでしょう。

4.まとめ

今回は、言語聴覚士(ST)が就活に落ちる理由と対処法について、注意すべきポイントを解説しました。

就活生としての身なりや態度など基本的なことはもちろんですが、コミュニケーションを専門とするSTならではの押さえておきたいポイントである、「相手に伝えるための話し方」を心掛け、良い結果が得られるよう、計画的に準備を進めていきましょう。

お悩みの際はぜひ、お気軽にPTOT人材バンクのキャリアパートナーにご相談ください。
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