理学療法士(PT)として小児領域に関わりたい場合、放課後等デイサービスや児童発達支援施設などで働くという選択肢があります。

その中で、児童発達支援は未就学児を対象とする現場ですが、PTにはどのような働き方があるのでしょうか?

今回は、そんな児童発達支援施設で働くPTの役割や魅力ついて紹介させていただきます!

1.発達支援における理学療法士(PT)の役割

まずは発達支援の領域でPTに期待される役割について、それぞれの施設の違いも踏まえて見ていきましょう。

児童発達支援で求められる役割

児童発達支援とは小学校就学前までの障がいのある子どもを支援することを指します。実際に支援を受けられる施設は、児童発達支援事業所と児童発達支援センターの2種類が存在します。

どちらの施設においても、身体に障がいのある児童や、知的、発達障がい児を含む精神障がいのある子どもが対象となります。また、障がい者手帳のない子どもであっても療育の必要がある、と判断された場合は支援します。

児童発達支援の領域でPTに求められる役割を端的に表すと「専門的な視点から児の発達課題を抽出し、それに対しての個別性の高いプログラムを計画・実行する」ことになります。

一言で発達に遅れがあると言っても、対象となる子どもの中にはそれが明確になっていない場合も多いです。

普段の生活や遊びの中で、その子の持つ個性を見つけだし、個別のプログラムを立案し、日常生活関連動作や運動機能の向上、就学に向けた準備などの介入を行っていくのがこの領域でのPTの役割となっています。

もちろん保護者や保育士、看護師に対しても、子どもが日常生活を送る上での工夫や、注意しなければならないこと等のアドバイスを行うこともあります。

児童発達支援センターと児童発達支援事業所の違い

児童発達支援を受けられる施設は児童発達支援事業所と児童発達支援センターの2種類があると前述しましたが、これらの施設の特徴について紹介します。

児童発達支援センター

福祉サービスを提供する「福祉型」と福祉サービスに加え治療も提供する「医療型」のセンターの2種類があります。「医療型」場合、サービスを利用する子どもの医療依存度も高くなります。

地域の児童支援の中でも中核的な位置づけになることが多く、児童発達支援事業所よりも専門的で高度な介入を提供できる体制が整っていることが多いです。

また、管轄地域の児童発達支援事業所の相談にのったり、アドバイスを行ったりする他、障がいのある子どもが通う保育園などにスタッフを派遣し、専門的な知識と技術のもと助言や援助を行うこともあり、センターに通っていない子どもの支援にも携わっています。

児童発達支援センターは、担当児の数も多くなる可能性が高く、幅広い子どものサポートを経験できるでしょう。また、規模が大きい傾向にあるので、一人一人の子どもに対して他職種と連携して対応することが多いです。

児童発達支援事業所

児童発達支援センターと受けられるサービスは基本的には変わりませんが、事業所ごとに特色が異なり、専門的で高度なサービスを要する場合は対応できないケースもあります。

児童発達支援センターよりも設置数が多いため、アクセスしやすいのが利点であり、地域に密着して運営されている事業所が多いのが特徴です。

児童発達支援事業所の場合は、センターに比べて利用者数が少ないケースが多く、一人一人の子どもや保護者との距離が近くなり、生活に寄り添った関係に繋がりやすいと言えるでしょう。

また、事業所の規模によっては専門職が自分一人だけといった環境で働くこともあるため、時には作業療法士(OT)や言語聴覚士(ST)といった職種の視点でのアドバイスを求められることもあり、PTだけでなく他の職種の視点も持ち合わせたインクルーシブな活躍を期待されることもあるでしょう。

放課後等デイサービスとの違い

障がいのある子どものためのサービスとして放課後等デイサービスと呼ばれるものもあります。児童発達支援センターや事業所が未就学児を対象としているのに対して、放課後等デイサービスは6歳~18歳の年齢の就学児が対象となっています。

厚生労働省の放課後等デイサービスガイドラインによると、支援の目的は主に次のように定められています。

  1. .自立支援と日常生活の充実のための活動
  2. .創作活動
  3. .地域交流の機械の提供
  4. .余暇の提供

運動の発達といった観点からよりも、書字や座位での活動、コミュニケーションなど、学校や自宅での生活を意識した活動に焦点が当てられることが多くなってくるのが児童発達支援センターや事業所との違いです。

もちろん、小学校に入学したばかりの年齢の子どもに対しても、発達支援の要素を取り入れた対応が必要になってくることもあり幅広い知識が求められます。

2.児童発達支援センターでの仕事

理学療法士(PT)が児童発達支援センター等で働く際の1日の流れはどのようになっているのか一緒に見ていきましょう。

理学療法士(PT)の基本的な仕事内容とスケジュール

児童発達支援センターで働くPTの1日の動きを簡単に紹介していきます。児童発達支援事業所も同じような業務スケジュールで動くことが多いので参考になさってください。

時間業務内容
09:00~09:30出勤、準備
09:30~12:30保育、リハビリ 個別リハビリやグループリハなど職場によって介入の方法に違いはでてきます。食事の様子を評価することもあります。
12:30~13:30休憩
13:30~16:30保育、リハビリ 職場によっては地域の保育園や小学校などを訪問し、子どもについての個別相談に対応することもあります。
17:00~退社 職場によっては放課後等デイサービスなどを併設していることもあり、シフトによってはデイサービスを利用している子どもへの介入を行う場合もあります。

リハビリを提供する以外にもPTが保育業務に携わることもあります。そのため、専門職そして保育士といった二つの視点での働き方が求められることがあります。

勤務時間については各職場で異なってくるので、児童発達支援センターや事業所での勤務を検討されている場合には事前に確認することをおすすめします。

児童発達支援で働くメリット

児童発達支援の領域で働くメリットとしては運動発達の過程をしっかり学べる点と言えます。発達に障がいがある子どもを診るにあたって、人が「座る・立つ・歩く」といった基本的な動作をどのように獲得していくのかを把握しておかなければなりません。

そのため、基本知識としてしっかりとその部分を学ぶことができれば、中枢神経疾患やスポーツ分野の患者を診療する機会に出会った際にも役に立つ可能性があります。

また、自身が子供を授かった時にもどのように発達を促したら良いかがわかってくるので、仕事だけでなく、プライベートの場面でも知識を活かすことができそうですね。

児童発達支援で働くデメリット

発達支援領域で働く際のデメリットとして考えられるのはエビデンスベースの介入を経験する機会が少なくなってしまうといったことが挙げられます。

発達支援や小児の領域では、高いエビデンスを伴った介入というのがまだまだ少ないので、どうしても経験則や「〇〇法」といった手技に頼った介入を選択する機会が増えてしまう可能性があります。

現在のEBM(Evidence-Based Medicine)を基本とした医療業界とは少し違った観点からの介入にならざるを得ないこともあり、今後違う分野で働くことを視野に入れている場合は注意したい点です。

しかし、この点に関して、他職種と連携しながらPTの介入によるデータを蓄積できれば、自身の手でエビデンスを作り上げることも可能なので、やりがいに繋がる点としても捉えることができますね。

3.児童発達支援がおすすめな人の特徴

児童発達支援の分野で理学療法士(PT)に求められる役割や働き方について見てきました。この章ではどんな人がこの分野に向いているかを紹介していきます。

子供が好きな人

発達支援領域でPTとして働く際には保護者との関わりも重要になり、数年間の付き合いになることがほとんどです。

親と同じ目線に立って、子どもを視ることで発見できる能力や課題があるかもしれません。子育てをしたことがない場合でも子どもと接することが好きであれば、そういった能力を養いやすいでしょう。

忍耐力がある人

発達支援領域でPTとして介入をする際にも、こちらの考え通りにならないこと、うまくいかないことに数多く直面します。

また、介入の効果が得られるまでにかかる時間も長くなってきます。粘り強く子供と接していく忍耐力はこの分野で働く必須条件になるかもしれません。

創造性がある人

2章でも記載しましたが、発達支援領域においてエビデンスの高い介入についての報告は少なく、まだまだ手探り状態で介入を行っているPTも多くいます。

しかし、これを逆手にとると、介入効果を高めるために、創意工夫をする余地がまだまだあると言うことです。既成概念にとらわれず。その児にあった介入方法を生み出すことができれば楽しく働くことができると思います。

4.まとめ

今回は、発達支援領域での理学療法士(PT)の仕事や働き方について紹介させて頂きました。

発達支援領域は一般的な病院では経験することができず、初めて挑戦する場合は学ばなければならないこともたくさんありますが、子どもと関わるのが好きであれば楽しく働くこともできます。

また、自身の状況に応じてフレキシブルな働き方を認めてくれる職場も多いのも特徴です。
転職先の一つとして検討してみても良いかもしれませんね!

今、小児領域では理学療法士(PT)を求めています

臨床実習現場の不足や、苦手意識などから小児領域に携わるPTはまだまだ多いとは言えません。一方で、療育や医療的ケアが必要な子どもの数は年々増加傾向にあり、拡大する需要にサービスの提供が追い付いていません。

未経験からでも挑戦できる職場はたくさんあります。少しでも小児領域に興味がある場合は下記の小児求人特集も参考にして頂き、是非チャレンジしてみてください!

求人特集リハビリ職の新しい働き方

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【参照サイト】
放課後等デイサービスガイドライン