理学療法士の方で修士課程を修了した方は、次の課程である博士課程に進んだ方がよいかどうかで悩んでいるかもしれません。とくに博士号を取ることによって給与はどう変わるのかということや、資格を取った後にどのようなキャリアパスが考えられるか気になるのではないでしょうか。

今回は、博士号を取ることによって給与にどのような影響があるかということや資格を取った後のキャリアパスについて解説します。

理学療法士の博士号は希少?

理学療法士で修士課程に進学する人は少ないですが、博士号を取る人となるとさらにその数は少ないと言えます。それでもその課程に進むメリットがあるでしょうか。ここでは1つのメリットを考えてみたいと思います。

さらに高いレベルの研究を行える

修士課程と比較するとさらに高いレベルの研究を行えるのは大きなメリットです。修士課程で学んだとことを基礎としてさらに研究を発展させることができるほか、ある程度自分の判断で研究を進めることもできるようになります。

博士号を取るデメリットは?

一方、デメリットとしては学費がかかることや、余暇の時間が少なくなることなどがあります。博士号を取るためには250万~600万円ほど学費がかかります。しかも、講義を受けながら余暇の時間は研究と仕事をしなければならないため、非常に忙しくなります。メリットとデメリットをよく比較検討して進学する必要があるでしょう。

取得の難易度は?

当然のことですが、修士号を取るときよりも難易度は上がります。論文の審査一つ取っても修士課程では学内の教員だけだったのが、博士課程では学外からも審査員を招いて審査が行われるケースが、多く見受けられます。

また、学位論文以外にも副論文と言われる論文を準備しなければなりません。これは雑誌に掲載されたり、受理されたりしている論文のことで、大学によってどのような論文が何本必要か条件は異なってきます。

違う分野で資格を取ることも考えられる

必ずしも「理学療法学博士」で資格を取らなければならないわけではなく、ほかの分野で博士号を取ることもできます。具体的には、医学・社会学・公衆衛生学・教育学などの分野で取得して、理学療法に役立てるという方法が考えられます。

また経営学を学んで自分で事業を立ち上げたり、地域包括ケアの知見を高めるために公衆衛生学を学んだりするという道もあるでしょう。さらに、言語や生活能力の問題がなければ、海外の大学院で学位を取得することも検討できます。

博士号を取ったら給与は変わるのか

国立病院機構など一部を除いて病院などで働く場合には、給料はほとんど変わらないというのが現状です。これは理学療法士として稼げる金額の上限が決まっているためです。診療報酬の点数には資格は反映されませんので仕方のないところと言えるでしょう。

しかし、就職や転職の際には博士号を持っていることが考慮され、有利になることはあるかもしれません。

博士号取得後のキャリアパス例

資格を取った後のキャリアパスの例としては、大学の教員や研究関係の仕事を行うケースが多いでしょう。ただし、博士号を取得したとしても100パーセントの確率で教員・研究職のポストにつけるといわけではありません。

ポストに空きがあるかどうかや、空いていたとしても自分の専門分野にマッチしているかは決まっていないため、自分が希望するタイミングで教員や研究職になれるという保証はないからです。

博士号を取って運よくすぐに教員や研究職の働き口が見つかる人もいれば、臨床で何年か働いてポストが空くのを待つ必要がある人もいます。もちろん、すぐに見つからないとしても臨床も重要ですので、その経験は無駄とは言えないでしょう。

また、博士号を持っていることによって臨床で働きながら、大学や専門学校の非常勤講師として呼ばれたり、講演会に呼ばれて話をしたりするといった機会もあるかもしれませんので、そのような形で副収入を得られる道が開けることもあります。

理学療法士として博士号を取ることを考える人は希少で、高いレベルの研究が求められるため、道のりも大変です。しかし、将来は教育研究領域に進みたいと考えているのであれば博士号は登竜門と言えますので、ぜひ目標に向かって前進してみてください。

不明点があれば、是非PTOT人材バンクのキャリアパートナーに遠慮なくご相談ください。

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