最近ではグローバル化が進み、日本からも海外に出て働きたいと考えている方が増えています。医療分野も例外ではなく、作業療法士として海外で働きたいと考えている方もいるのではないでしょうか。この職種はリハビリの知識と技術を持った資格者なので海外でも需要がありますが、国によって働くための手続きや条件に違いがあります。

今回は、海外で働く具体的な方法や海外の求人情報などについて解説します。

海外で作業療法士として働く方法とは?

海外で働く方法はおもに3つあります。一つは日本で資格を得てから海外で働く資格を得る方法、二つ目は直接海外に行ってその国の資格を得る方法、三つ目は青年海外協力隊やシニア海外ボランティア派遣として海外で働く方法です。

青年海外協力隊として働く方法は後で詳しく取り上げますので、ここでは最初の2つの方法について説明したいと思います。

国内で作業療法士の資格を取得する

最初に説明するのは、日本で資格を得る方法です。日本では養成校を出て、国家試験を受験することによって資格を得られます。養成校を選ぶ時に大切なのは、WFOT(世界作業療法士連盟)の認定校かどうかです。国によっては、WFOTの認定校卒業が免許取得の条件となっているからです。

海外で作業療法士の資格を取得する

直接自分が働きたい国に行って、その国の養成校に通って資格を取得する方法です。時間とお金があれば確実に資格を得られますが、国によって教育システムが違うために事前に確認しておく必要があります。また、その国の言語の習得が必須条件になることが多いです。

青年海外協力隊とは?国際免許書き換え試験とは?

海外で働く場合には「青年海外協力隊」や「シニア海外ボランティア派遣」として働く方法もあります。ここでは「青年海外協力隊」がどのようなものなのかということや、国際免許の書き換えについて説明します。

青年海外協力隊とは?

これは「独立行政法人国際協力機構」(JICA)が行っているボランティア活動です。募集は春と秋の2回行われ、基本的にはインターネットで応募できます。派遣先は開発途上国の中で療法士の数が少なかったり、認知度が低かったりする地域になります。

参加するためには作業療法士の資格や実務経験が必要ですが、現地での生活費は不要で、一時帰国の時は渡航費も負担してもらえます。

国際免許書き換え試験とは?

国際免許書き換え試験は、日本での作業療法士としての免許を書き換える試験のことです。基本的な流れは最初に学位やシラバス、免許、語学証明といった書類を提出します。その後、審査が行われ、不足分があればそれを補うことによって免許を得られます。国によっては、改めてその国の養成校に入りなおす必要があるケースもあります。

作業療法士として働く主要な国はどこ?

作業療法士の制度がある国は世界に60か国以上ありますが、人気があるのはリハビリテーションの先進国と言われる以下のような国々です。

デンマーク

NBH(National Board of Health)という国家健康委員会が発行している許可証を取得する必要があります。また、デンマーク語の習得やデンマーク国内の養成校の卒業、あるいはそれに相当する学士の取得と、デンマークの市民権を取得することが条件になっています。

アメリカ

アメリカでは養成基準がWFOTの基準を上回っているため、日本で資格を取得しても現地で働くことができません。そのため、改めて現地の養成校を卒業して資格を取りなおさなければなりません。

このように、海外で働くうえで必要な条件は国によって異なり、WFOTに加盟していない国では働けませんので、自分の行きたい国の事情がどうなっているかを前もって確認しておきましょう。

海外の作業療法士の求人情報について

海外の作業療法士の求人情報を得るにはエージェントに登録する方法があります。エージェントに登録すれば日本語で求人情報を確認でき、就職までに必要な手続きもサポートしてもらうことができます。

自分が働きたいところがはっきり決まっている場合には、その病院や施設に直接コンタクトして求人の応募をするのも一つの方法です。ただし、海外の担当者と直接やり取りすることになるので、ある程度の語学力が必要になります。

もう一つは現地でインターンとして働いて就職する方法です。現地で養成校などに入って作業療法士の資格を取得する場合も、はじめのうちはインターンとして働いてからその病院や施設に就職するケースが多いと言えるでしょう。

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