作業療法士(OT)は国家資格であり、技術を有する職業で働く職場は多岐にわたります。

そうした環境に加え、男女比で女性が6~7割を占めていることや昇給・給与面などの要因において、実は離職率が割と高い職種でもあるのです。

今回は、そんなOTの離職率と離職の原因について詳しくご紹介していきたいと思います。

1.作業療法士(OT)の離職率は高い!?

OTの離職率の統計データは存在しません。そのため、厚生労働省が調査している賃金構造基本統計調査の勤続年数から離職率を推測してみると、OTの勤続年数は平均6.5年であり、男女ともに差はありませんでした。

一般的な他の職種と比べると、平均勤続年数は少ない傾向にあり、離職率が高いと言えます注1)。

ここで言う離職というのはOTを辞めるという意味ではなく、職場を変えるといった意味合いを指しています。これからOTを志す方は、あまり不安にならないでくださいね。

注1)この統計には理学療法士、言語聴覚士、機能訓練士が含まれており、資格化して年数の浅い言語聴覚氏によって平均年数が引き下げられている可能性は否めません。

2.2年~5年未満が離職のピークに

次に、厚生労働省が調査した2019年の雇用動向調査を参考に考えていきましょう。この統計は就業者を11のグループに分けて計測したものであり、作業療法士(OT)が含まれる専門的・技術的職業従事者 注2)は2~5年で辞める人が最も多いとされています。

6か月  未 満6か月~  1年未満1年~    2年未満2年~    5年未満5年~    10年未満10年     以上
2019年の離職者数153400141500189500343000220900262100

実際に私もOTとして働いてきて、皆現場では「最低3年は勤務し、経験を積んでから次の目標のために転職をする」といった考えの人たちが多くいました。

1つの職場では最低3年経験を積み、自分の興味のある分野に挑戦したり、結婚や出産など今後のライフスタイルを見据えた働き方を考え始めるといった風潮が上記のデータにも反映されているのかもしれません。

注2)専門的・技術的職業従事者の中には作業療法士の他にも理学療法士、化学研究員、情報工学研究員、農産物検査員、システム設計技術者、医師、薬剤師、助産師、看護師、准看護師、歯科衛生士、保育士、弁護士、司法書士、写真家、デザイナー、プロデューサー、教員、記者、編集者など、様々な職種の人のデータが含まれています。

3.作業療法士(OT)が職場を辞める理由

OTが職場を辞める理由には主に3つのパターンに分かれます。

それぞれのパターンを詳しく見ていきましょう。

キャリアのため

OTの場合、経験年数を重ね様々な症例を診ていくことで自分のスキルアップに繋がったりリハビリの幅が広がっていきます。

特に新卒後3~5年の時期は、初めての職場で多くの知識と経験を経て、OTとして自分の本当に目指したい分野や挑戦したいことが見えてくる時でもあります。

そのタイミングで転職を考え、キャリア・スキルアップであったり、違う分野を診てみたい、退院後の患者様のリハビリをしたいなどの理由で職場を辞める人が多くいるのです。

家庭のため

OTは女性の割合が高いため、仕事と家庭の両立を考えなければならない人が多い職種でもあります。

結婚を機に夫の職場の近くに引っ越しをする、家庭を大事にしながら働ける職場、子育てと両立できる職場に転職をするなどの理由で一度職場を辞める人も少なくはありません。

実際に私も新卒後勤務した職場で4年勤務した後、結婚・引越しを機に離職し、残業が少なく子どもが生まれてからも働きやすい職場に転職をしました。

経営方針の不一致

OTは患者様に対し、こんなリハビリを提供したい!という熱意や希望を持って就職する人が多いと思います。

そんな中で、実際働いた職場との方向性が合わず、思うような支援が提供できないといった場合や、自分で経営に関わりたいと思う人は退職し、自分に合った職場への転職を決意します。

給与面においても、OTの場合長年勤務したからといって大幅な給与UPはあまり望めません。そのため、ある程度経験を積むと管理職や経営側の役職に就き、より高みを目指していく人も少なくはないのです。

4.まとめ

作業療法士(OT)の離職率と離職の原因についてご紹介してきましたが、いかがでしたでしょうか。

OTという仕事が向いていない、給与面において満足できないという人は職場を辞め、全く別の仕事に就くこともあります。

しかし、離職率の高いOTの背景には、国家資格を有する安定した職業であることや自分の状況や希望に合わせて職場を変えながらもOTとして働き続けられるという強味があるのです。

あなたにとって一番望む形でOTを活かせる職場を見つけてみてください。
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【参照サイト】
賃金構造基本統計調査/令和2年賃金構造基本統計調査 一般労働者 職種
雇用動向調査/年計 離職者