作業療法士は、対象者の心身に大きな影響を与えうる仕事です。そのため、確実な技術を身につけることが必要で、上司や先輩から厳しい指導を受けることもあります。しかし、仕事上必要な指導を装ったいじめが発生する場合もあるのです。もしいじめにあっているのなら、我慢してはいけません。

この記事では、職場でのいじめとはどのようなものかということと、その対処法について解説します。

厳しい指導も度を超えればいじめに

厚生労働省は、職場でのいじめ・嫌がらせ・パワーハラスメントは人権を侵害する許されない行為だとして、予防と解決に取り組む意向を示しています。いじめとはパワーハラスメントだとして次のように定義しています。

「職場のパワーハラスメントとは、同じ職場で働く者に対して、職務上の地位や人間関係などの職場内の優位性(上司から部下に行われるものだけでなく、先輩・後輩間や同僚間、さらには部下から上司に行われるものも含まれる)を背景に、業務の適正な範囲を超えて、精神的・身体的苦痛を与える又は職場環境を悪化させる行為をいう」

引用元:職場のいじめ・嫌がらせ問題に関する円卓会議ワーキング・グループ報告 |厚生労働省

この定義を基に考えると、必要な指導なのかいじめなのかを判断するポイントは、“業務の適正な範囲を超えるかどうか”であるといえます。

例えば、業務の内容のみならず人間性を否定する・リカバリー済みのミスを執拗に追及する・人前で叱責する・不要な身体接触をする・遂行が困難な量やレベルの業務を与える・十分な説明なしに業務にあたらせるなどが、いじめに該当します。

いじめもパワハラも、受けてしまった場合には証拠を残しておく

いじめを受けてしまったら、自分ひとりの力で解決するのは難しい場合が多いかもしれません。そのため、積極的に職場で信頼できる人やしかるべき相談窓口に助けを求めましょう。周囲に知られるのが嫌だという気持ちで我慢していたら、いじめがエスカレートしかねません。

自分が受けているいじめについて相談するときには、いじめの証拠を集めることが重要になります。いじめがあったことを客観的に証明することで、もみ消しを防ぎ対策を講じやすくするためです。いじめの証拠としては、いつ誰に何をされたのかというメモ(近くにいた人などの詳細な状況もあると良い)・メールのコピー・いじめの現場で録音した音声や動画・心身の障害で受診した場合の診断書などが有効です。これらをできるだけ多く、継続的に集めましょう。

いじめでの退職は会社都合になる

厚生労働省は、いじめが原因で退職する場合には、自己都合ではなく会社都合として手続きすることとしています。会社都合退職のメリットは、失業保険の給付にあたって優遇されることです。会社都合退職では、自己都合退職よりも早期から、長期間失業保険を受け取れる場合があるのです。

もしも、施設側が会社都合での退職を認めず自己都合退職になってしまったとしても、ハローワークで異議申し立てを行うことで会社都合退職へ変更できる可能性があります。

職場を変えて逃げましょう

いじめの原因は、自己肯定感の低さや嫉妬心など、加害者の心の中にあることがほとんどです。そのため、加害者の心の問題が解決されない限り、いじめがなくなるのは難しいといえるでしょう。

相手と距離を置く・毅然とした態度をとるなどの対処法によって収まってくることもありますが、すぐに効果が得られるとは限らず、対処法を実践する精神的な余裕がないこともあります。

いじめの解決を待って我慢していると、心身の状態に支障を来してしまい、場合によっては取り返しのつかない事態になる危険性もあります。いじめが辛いときには、職場を変えて逃げましょう。安心して作業療法士としての仕事に打ち込める職場は必ずあります。いじめから逃げるのは恥ずかしいことではなく、自分を守るための勇敢な行動なのです。

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