作業療法士(OT)は求人が多い業界であるため、転職経験者も多いのではないでしょうか。

転職の回数が複数になってくると、選考の際にマイナスイメージを与えてしまうのではないかと不安になることもあるでしょう。

ここでは、転職回数が多い方に向け、再就職に成功するコツ、そして失敗する事例とその対策について解説していきます。

1.作業療法士(OT)は転職が多くなる

OTは転職が多くなる傾向にあります。転職成功のカギとなる転職市場のニーズやよくある転職理由について、解説していきます。

転職市場でのニーズ

専門職でもあるOTは今もなおニーズは高いです。OTのリハビリは幅広く、「上肢機能に特化したリハビリ」「ADLに重点を置いたリハビリ」「手工芸などを活用したリハビリ」など、さまざまなアプローチ方法があります。

そのため、就職先も多岐にわたり、身体疾患の患者さんが中心な総合病院はもちろん、ほかにも高齢者施設、精神科の病院や小児リハビリ施設など、選択肢は広いです。職場によっては、OTの人材が不足しているところもあり、求人は多い傾向であるといえるでしょう。

人手不足に関しては以下の記事でも詳しく述べているので、ぜひ参考にしてみてください。

よくある転職の理由

転職の理由の中でもよく挙げられるのが以下のものです。

  • 転職を通じて、今の知識・技術をさらに磨いてスキルアップしたい
  • 収入アップを図りたい
  • 今まで経験したことのない分野で働いてみたい
  • ライフワークバランスの変化に合わせた働き方をしたい

一般企業などでは、新卒しか採用しなかったり、転職がマイナスイメージとなったりする業界もありますが、OT業界がまだまだ人手不足であることや、OTの転職理由は前向きなものが多いことが影響して、中途採用を積極的に取り入れています。

すでにOT経験があり、知識や技術を持ち合わせている人材は、「即戦力」としてとらえられ、転職市場でもニーズは高くなっています。

2.転職回数が多くても関係ない

転職回数が多くても、転職理由を明確にすれば、マイナスイメージに取られにくくなります。ここでは、転職回数が多くても転職が成功した例について、説明していきます。

転職は悪いものではない。前向きな転職が成功のカギ

作業療法士(OT)の職場は、同じ身体障害の分野でもメインとなる疾患が異なると、リハビリ方法も違ってきます。医学は日々進歩し続けており、リハビリでも継続的な自己研鑽が求められます。

同じ職場で働き続けることは、生活スタイルを変えずに働けたり、昇進がしやすくなったりと良いことも大いにあります。しかし、転職してみることで新たな症例やリハビリ技術を学ぶことができ、かえって自分のスキルを磨けて、プラスに転じることもあるのです。

どんなことを学んでいきたいのか、転職先でどう働きたいのかを明確にすることで、自分らしい働き方が実現できるでしょう。

OTはライフワークバランスの変化に合わせて自分らしい職場探しができる

日本作業療法士協会が発表した「2019年度日本作業療法士協会会員統計資料」によれば、OTの6割が女性です。女性は結婚や出産、育児はもちろん、配偶者の転勤の帯同など、ライフワークバランスの変化が男性に比べて多い傾向にあります。

例えば、新卒の時は研修制度が整っている総合病院に勤め、結婚や出産に合わせて、残業の少ない高齢者施設などに転職するといった、生活スタイルに合った職場探しをする女性も比較的多いです。

また、育児や介護などで一時的に正社員として働けなくなっても、その経験が活かしやすい職場が多いのもOTの特長です。育児経験がある人は、障害を持つ子どもを対象とする放課後等デイサービスなどで需要があります。

介護経験がある人は高齢者施設や通所リハビリテーションなどでスキルを活かせるかもしれません。自らの経験を通して、より患者さんに寄り添った質の高いリハビリにつなげていけることも、OTの魅力の一つです。

転職回数の多さが「魅力」に変わることも

OT業界では、転職回数が多いということが、「さまざまな分野のリハビリに対応できる人材」と評価される場合もあります。特定の疾患にこだわらず、さまざまな疾患の患者さんと接し、リハビリをしてきたという経験は大きな財産となります。

また、小児から高齢者まで、身体障害から発達障害、精神障害までリハビリ対象とするOTは、その分野の多さと比例して働ける職場が多いのです。分野の違いはあっても、OTの知識では共通している部分も多く、未経験の分野でも前職の知識が役立つということは大いにあります。

そのため、未経験の職場でも今までの職場でどんな取り組みをしてきたのか、そして、自分が今後していきたいことを前向きに伝えることで、これまでの経験がプラスに評価されるでしょう。

転職回数だけで評価されず、自分が実践してきたリハビリ技術を評価したうえで、選考されるという点がOTの転職の良さでもあります。中には、転職前の経験が評価され、かえって収入がアップしたという事例もあるのです。

3.短期間の転職は注意が必要だが決してダメではない

転職の際に、面接官にマイナスイメージを与えてしまいやすい事例の最も多いものに「一ヶ所の職場での就労期間が短い」ことがあります。

短期間とは1年以内をイメージしてみてください。1年以内に職場を辞めている場合、しかも、それが複数続く場合、「一つの職場に1年以上在籍できない人物」=「本人に問題がある可能性がある」とみなされる恐れがあるでしょう。

しかし、結婚(配偶者の転勤などに伴う引っ越し)や、前職場の事業縮小など、理由次第では事実をありのままに話しても問題がない場合もあります。自己都合の退職の場合は、面接官にマイナスイメージを与えないような説明をする必要があるでしょう。

また、職場環境によっては短期間での退職を気にせず辞めざるを得ない場合もあると思います。例えば、以下の状況が挙げられます。

  • 面接時に提示した労働条件と異なった条件での勤務を強いる職場(休日や収入が異なる、時間外労働が異常に長いなど)
  • 人間関係が明らかに良くない職場(パワハラがある、入職直後なのに指導がまったくないなど)
  • 労働内容が自分の希望や能力に合っておらず、最大限努力をしても続けられそうにない場合

短期間での転職は確かにマイナスイメージとなりやすいでしょう。しかし、合わない職場で無理に働くことは、心身のバランスを壊すきっかけにもつながります。

心身を壊し作業療法士(OT)として働くことすら難しくなってしまっては、本末転倒です。「この職場は合わない」と思ったら辞める勇気を持つことも時には必要です。

そして、入職してすぐ「辞めたい」と感じた時には、試用期間中に申し出ると退職しやすいかもしれません。自分から退職の意思を伝えづらい場合、転職エージェントを通すのも一つの方法です。

4.気になる場合は転職エージェントを活用するのもコツ

短期間での転職で「労働条件が異なっていた」など、前職場に非がある場合もあるでしょう。しかし、前職場の悪口となる会話は極力慎み、転職を通して自分のスキルをどう活かしていきたいのかを、前向きに伝えることに重点を置きましょう。

また、事前に職務経歴書を用意し、「自分が前職場で培ってきたことは何か」「今後自分が発揮できるスキルは何か」を面接官に伝える工夫をすることも大切です。

そして、PTOT人材バンクのような転職エージェントを活用することで、より効果的に自分の良いところをアピールできるでしょう。自分で話すことが苦手だったり、文章を考えたり職務経歴書を書いたりするのが苦手、という方は積極的に転職エージェントを活用してみてください。

そのほかにも、転職エージェントに登録することで、自分では聞きづらい労働条件を明確に知ることができます。自分一人で転職活動をするより、さまざまな条件から照らし合わせて職場を提案してくれるので、未経験の分野でも安心して面接を受けやすく、自分では思いつかなかった「天職の職場」に出会えるかもしれません。

5.まとめ

これまで作業療法士(OT)の転職について説明してきました。OTは転職回数が多くなりやすい職種ですが、それは必ずしもマイナスではなく、プラスに働くこともあるとお判りいただけたでしょうか。

もちろん、中には転職が思うように進まない方もいるかもしれません。そんな時はPTOT人材バンクを活用してみてください。希望に合った職場探しができるよう、サポートいたします。

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【参照サイト】
「統計情報」