作業療法士(OT)として働く中で、「OTを辞めたい」「OTにならなければよかった…」などと後悔することもあるかもしれません。

そんな時、すぐに辞めてしまうのではなく、その原因を見極め改善策を講じることで、より働きやすい環境につなげていけます。

この記事では、OTによくある後悔と改善方法について、解説していきます。

1.作業療法士(OT)の後悔はほとんど職場関係

作業療法士(OT)の仕事への後悔の根本的な原因は、職場にまつわることが多くを占めています。自分に合わない職場は身体的にも精神的にも多大なストレスがかかることも。現在の職場の何が自分に合わないのかを見つめ直すことで、後悔を払拭したり減らしたりできます。

職場の雰囲気が合わない

仕事にやりがいや楽しさを感じられるかどうかは、職場の雰囲気が大きく影響します。もっといえば、職場の雰囲気が良いかどうかは、職場の人間関係の良し悪しがポイントです。

仕事をするうえで、悩んだり困ったりして壁にぶつかることは必ずあります。職場に信頼できる、頼れる先輩や上司がいることで、解決につながるアドバイスをもらえたり、サポートをしてもらえたりすると、辛いことがあっても後悔するより「頑張ろう!」という前向きな気持ちになれます。

さらには、自分と同じ立場で相談しあえる同僚がいると、より職場が安心できる場所になるでしょう。自分の心の内を明かせる同僚がいれば、落ち込むことがあっても、おのずと前を向き、再び仕事に向き合えるようになります。

OTとして成長し、充実した社会人生活を送るためには、自分の日々の努力の積み重ねが重要ですが、その背景には上司や先輩、同僚など、周囲の人々のサポートが大きく影響しているのです。

反対に、人間関係に恵まれず、ギスギスとした職場で働いている場合には、仕事のストレスに加えて、スタッフ同士の付き合いでも過剰なストレスを抱えてしまいやすくなります。そんな環境では何か困ったことがあっても、周囲のスタッフに相談しづらく、一人で悩みを抱え込んでしまうでしょう。

職場の雰囲気が悪いことで、OTとしての仕事がしづらくなり、「OTを辞めたい」という後悔の気持ちが生まれやすくなってしまうのです。

年収や福利厚生が悪い

職場の年収や福利厚生の充実さも、OTの仕事の充足感に直結します。

年数を重ねていく中で、結婚や出産などでライフステージが変わってきます。新卒で就職した時は初任給の額に不満を感じなかったとしても、その後の昇給が低かったり、賞与が少なかったりして、給料が増えていかないままだと、仕事に満足感を得られなくなってしまうことも。

特に、男性は結婚をすると家庭を支える大黒柱になることが多く、給与の少なさは仕事へのモチベーションを下げ、OTの仕事を選んだことを後悔してしまうことにつながりかねません。

また、女性では産休育休体制や時短勤務体制が整っていないなどの福利厚生の不十分さから、仕事の働きづらさにつながることもあります。さらに、遠方の勤務地への異動により、退職を余儀なくされてしまうケースも。

しかし、昇給や賞与を含めた給与のアップは、一職員の希望で改善できるものではありません。特に、病院では診療報酬が定められていることから、ある程度上限が決められてしまっており、給与の大幅改善は難しいのが現状です。

そのため、給与アップを狙いたい方は、業績が良く給与が高い病院や施設などに転職する方法が確実です。これまでのキャリアや自らの強みを前面に出し転職活動を進めることで、より条件の良い職場や役職がつく職場を探すといいでしょう。

福利厚生についても、ライフステージが変わるタイミングで、自分に合った条件の職場を見つけることがおすすめです。年間休日はどのくらいなのか、事前に育休や産休など取得実績がどのくらいあるのか、異動はあるのかなど、詳細な条件を確認して転職活動をすることで、自分の条件に合った職場が見つかりやすくなります。

仕事内容が合っていない

OTの仕事にやりがいを感じられない場合は、自分の働きたい仕事内容と現状が合っていないことが考えられます。

OTは対象となる患者さんが幅広い職種であり、どの分野の職場で働くかも、職場環境・仕事内容の大きな要因の一つです。

リハビリ対象は成人か子どもか、疾患は神経系疾患なのか整形疾患なのか、精神面の疾患なのか。同じ疾患でも回復期段階によってもリハビリ方法は異なり、必要とされる知識や訓練方法も大きく変わります。

また、同じ病院でも、院内の配属先や担当する患者層によって、一日の流れは違います。例えば、急性期病棟と回復期病棟が両方ある総合病院では、患者さん一人ひとりに割ける時間は変わってきます。

比較的短いスパンで多くの患者さんと関わりながら、臨床経験を積んでいきたい方なら、急性期でのリハビリがおすすめです。反対に、一人ひとりの患者さんとじっくりリハビリを行い、機能回復をサポートしたい方なら、回復期が向いています。

今の働き方に不満がある、後悔があるという場合、職場によっては配属部署を変えてもらうことで解決する場合もあります。部署異動であれば給与や待遇などは変わらずに、転職をするよりも手軽に現状を変えることができます。

部署異動が難しい場合は、勤務施設自体の転職を考えてみるといいでしょう。転職については次の項目で詳しく説明します。

2.そのほかのよくある後悔

ここでは、職場にまつわること以外で、作業療法士(OT)が感じやすい後悔とその解消方法について、解説していきます。

仕事上体力を使うことが多く、身体的負担が大きい

疾病や加齢により介助量の多くなった患者さんのリハビリを行う職場では、セラピストの身体的負担が大きく、腰痛や肩こりなどの発症・悪化を引き起こすことがあります。特に、身体障害分野では、日常生活動作(ADL)にまつわる訓練が多く、介助量が多い方のリハビリも経験する場面は多々あります。

OTはPTよりも女性が多い傾向にありますが、男性に比べて女性は非力でありながらも、男性OTと女性OTで患者さんに提供する訓練内容が変わるわけではありません。もちろん、介助量が重い患者さんにはスタッフ二人体制で介助することもありますが、身体的負担は感じやすくなります。

そのため、腰痛などの身体面の不調が出た時に、OTという職種を選んだことを後悔する方も多いです。

その反面で、OTは対象となる患者さんの疾患が幅広いため、職場(対象とする分野)を変えることで、身体的負担を大幅に軽減できるという強みも併せ持っています。

OTの仕事は好きでも、身体的負担が辛くて働き続けられない人は、ある程度身の回りのことは自分でできる在宅の患者さんを対象としたデイケアやデイサービス、身体面では問題のない患者さんが多い精神科病院での勤務をおすすめします。

そのほかには、正社員からパートに切り替えたり、平日のみ5日連続の仕事から、休憩時間が長い平日休みのあるクリニックなどの職場に変えてみたりするなど、勤務スタイルを見直すことで身体的負担を軽減する方法もあります。

休みの日も自己研鑽を求められることが多く、プライベートの時間が取れない

OTに限らず、医療職の方が避けては通れないのが、自己研鑽により知識・技術を高めることです。リハビリの仕事は患者さんの人生に大きく関わる仕事であるため、どんな職場でも知識や技術を深めていくことが大切です。

しかし、仕事の疲れに加え、プラスαの自己研鑽は、時に身体的にも精神的にもストレスを与え、「OTを辞めたい」と後悔するきっかけにもなりがちです。

特に、新人の時期は職場に慣れていないことに加え、かつ知識面でも知らないことが多いため、自己研鑽がプレッシャーに感じ、離職につながることも多いです。

自分で積極的に学ぶのが難しい方は、職場内勉強会が充実している職場を選ぶと、働きながら、徐々に知識を増やせます。勤務時間内に勉強会を実施していれば、プライベートの時間も確保しやすくなります。

外部の勉強会に足を運ぶことに抵抗や難しさを感じる人には、サブスクリプションで配信される動画研修などを、日々の生活の中に取り入れてみるのもおすすめです。

自己研鑽の手段は多岐にわたります。自分にプレッシャーをかけすぎない程度に、継続できる範囲で自己研鑽の時間を設け、自分に合ったペース・方法で、着実に一歩ずつ知識・技術を磨いていけるのが一番です。

3.職場が合わない場合は転職で解決を

職場が合わないことで感じる後悔は、転職で解決できることが多いです。ここでは、転職活動のポイントを見ていきましょう。

自分のやりたい・関心のあるリハビリは何か

闇雲に転職活動をしても、自分に合った職場は見つかりません。自分の性格、体力、生活リズム、興味関心のあることなどを整理したうえで、自分がどんなリハビリに関心があるのか、今後どんな知識を深めていきたいのかを見極めることが大切です。

自分が「やりたい」と感じる仕事を選ぶことで、仕事に対するモチベーションを高めてくれ、仕事で後悔を感じることも少なくなります。

転職活動は、職場の雰囲気を見学するのが吉

前項でも述べましたが、職場の雰囲気は就職後の働きやすさに大きく影響します。転職活動では、可能な限り職場を見学させてもらうようにしましょう。

職場でのスタッフ間のコミュニケーションの様子や、患者さんとの関わり方の様子、職場全体の取り巻く空気感などを、見学時に確認してみるといいでしょう。スタッフの表情や行動を見ることで、働きやすさを感じ取ることができます。

面接では、自分の確認したいことを事前にメモし、面接官に質問することで、その職場が自らの希望条件に合うかリサーチしましょう。直接聞くことで、求人票ではわからない情報を伝えてもらえることもあります。

現状を変えたければ、畑違いの職場を選んで挑戦してみるのもあり

転職というと、これまでの職場の条件を基準に、キャリアを活かせて、なおかつ、希望する条件の職場を探しがちです。しかし、給与面が良い場合ならば、求められる仕事が多くなるなど、すべてが希望通りになることは難しいでしょう。

もし、現在の職場に不満があるようでしたら、あえて今と異なる分野の職場を選んでみることもおすすめです。これまでと違う視点を持つことで、今まで気づかなかった作業療法士(OT)の仕事の楽しさや自分の強みなどを再発見できるきっかけがつかめることもあります。

私の場合は、結婚するまで高齢者を対象としたリハビリが中心でした。結婚や出産を機に、子育てと両立できる職場を探していた際に、転職エージェントから現在働いている重症心身障害児のデイサービスを紹介されました。

はじめは、小児分野という未経験の分野への転職に、期待とともに不安もありました。しかし、実際に勤めだすと、利用者の子どもたちとの関わりは勉強になることが多く、とてもやりがいを感じられる職場でした。

自分一人で転職活動をしていたら、前職と似た職場を探していたので、きっと見落としていたはずの職場でした。私は転職エージェントを通すことで、未経験の分野での仕事に挑戦することができました。自分の条件に合った職場を客観的に判断して紹介してくれる仕組みは、「現状の働き方を変えたい」と感じている方におすすめのシステムです。

お悩みの際はお気軽にPTOT人材バンクのキャリアパートナーにご相談ください。
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4.作業療法士(OT)が合っていないと感じる方へ

作業療法士(OT)をしながら、現状に悩んでいる方に向けて、自らの経験を踏まえた解決策の一部をお伝えします。また、私自身も学生時代に悩むことが多くあったので、現在OTを目指している方にも参考になればと思います。

OTとして働いている中で合わないと感じる方へ

働いていると、やりがいを感じることもあれば、負担や後悔を感じることもあります。

OTは国家資格であり、超高齢社会の影響もあって、比較的求人が多い職場です。一般の企業に比べて転職のハードルは低く、職場の選び方によってはキャリアアップの転職につながり、かえって好条件の職場を見つけるきっかけにもなります。

そのため、OTが合わないと感じたら、すぐにOTの仕事自体を辞めてしまうのではなく、一度自分に合った職場を探してみることをおすすめします。働く職場を変え業務内容を一新することで、新たな気持ちでOTの仕事に向き合え、自分のこれまで気づかなかった能力を発見できるかもしれません。

また、それでも働くことに疲れてしまったら、一度退職して休息をとるのもいいかもしれません。OTはブランクがあっても再度働きやすい職種です。特に、高齢者のデイサービスや、小児の放課後等デイサービスなら、パートでの採用やブランクのある方でも積極的に採用をしている傾向にあります。

実際、私自身が出産により4年のブランクを経て、再就職しています。ブランク中に得た経験が仕事に活きていると感じられることも多々あります。

職場の雰囲気や仕事内容を踏まえて、働き方を見直すことで、ライフワークバランスを両立させることができるのがOTの強みです。

OTを目指し、学業に励みながら悩んでいる方へ

OTの養成校では3年、もしくは4年と決して長くない時間の中で、リハビリにまつわる多くの知識・評価なども含めた技術を学びます。養成校入学後、想像以上のOTのカリキュラムの多さに、驚いた方も多いでしょう。

さらに、実習などでは対人スキルも求められます。中には疾病により言語障害があったり、認知症があったりとスムーズにコミュニケーションが取れる方ばかりではありません。

そのため、学校生活は大変なことの連続で、勉強のモチベーションを保つのが難しく、「OTになれないかもしれない」と感じたことがある方も多いでしょう。そんな時は、身近なクラスメイトと大変な気持ち、後悔する気持ちを分かち合い、励ましあってみてください。

OTの養成校は一クラスごとの生徒数が少なく、グループワークも多いので、生徒同士が密に付き合うことになります。嬉しい気持ち、辛い気持ち、悲しい気持ちを共感し、互いに励ましあうことで、様々な壁を克服する原動力が生まれます。

OTの業界を通して、社会人になっても仕事の相談をしたり、私生活で交流を深めたりできる、大切な交友関係を築けるのも大きな魅力です。

また、学校生活に悩んだ時には自分の一番身近なOTの先輩である教員の先生にも頼ってみてください。教員の方々は、厳しい時もありますが、それは生徒さんが将来OTとして活躍できるようになるため、そして、関わる患者さんのためです。

きっと、先生に悩みを相談する中で、問題が整理でき、解決の糸口が見つかるでしょう。

5.まとめ

OTの仕事をするうえで感じる後悔にまつわる情報について、解説してきました。「OTを辞めたい」と感じてしまうことは、決して珍しいことではなく、この記事を読んでいる方は、一度は感じたことがあるかもしれません。

後悔すること自体は悪いことばかりではなく、自分の現状をよりよくするためのステップでもあるのです。大事なのは、その後悔を解消するためにどのように行動するかです。自分の思いを見つめ直し、より働きやすい環境に身を置けるよう、この記事が参考になれば幸いです。

また、この記事を読んだOTを目指す学生の方が、OTの働き方にはこんなにも選択の幅があるのだということを知ってもらえたらと思います。仕事に悩むことがあっても、解決策は多くあり、OTは自分に合った働き方が追及しやすい職業なのだということが伝わると幸いです。

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