野村総研とオックスフォード大学の共同研究では、AI技術やロボットの発展により20年後までに人間の仕事の約50%はなくなる可能性があると2015年に発表されました。

そんな中でも、感情やホスピタリティ、寄り添った支援を必要とする仕事は、人間だからこそできるものとして残るだろうと言われています。

実際、作業療法士(OT)は、AIやロボットによる代替可能性が低い100種の職業にも選ばれています。

今回は、そんなOTの将来性や時代の変化に合わせてどのようなことが求められていくのかをご紹介していきます。これからOTを目指す方にはぜひこちらを参考に希望をもって進んでいってほしいと思います。

1.作業療法士(OT)の将来性は十分にある

OTは国家資格であり、対象者の障害や生活、目指すものに合わせて目標設定を行い、リハビリプログラムを提供してくため、病気や障害がなくならない世の中では必要とされ続ける職業と言えます。

資格保有数の伸び率に増減はあるものの年々増加しており、総人口が減少してきている日本では、同職種の人口が増えることにより競争の激化が懸念されています。

しかし、平均寿命が延び、超高齢社会に突入している日本では、OTを含む医療介護系は人材不足が叫ばれており、施設形態ごとの需要と供給は変化するものの、業界で見ると需要がなくなることは考えにくいでしょう。

2.作業療法士(OT)の将来性が不安視される2つの理由

今後様々な職種がなくなる可能性のある世の中で、OTは本当になくならないのか。特に懸念される2つの理由に対して、OTならではの強みがあることを解説していきます。

OTが増え飽和していく

2021年の作業療法士国家試験の合格率は81.3%であり、OTが国家資格として認められた1966年から資格を取得した会員数は年々増加し、2016年の3,750名をピークに飽和の状態とも言えます。

しかしながら、超高齢社会の日本では、今後もより高齢者の人口割合が増加していくと考えられています。認知症や高齢者に対するリハビリを行うOTは、更に需要が拡大されることが予測されるでしょう。

地域包括ケアシステムの推進やOTが地域に出ていくことが勧められている現在では、今後病院や施設だけではないOTとしての新しい働き方が出てくる可能性もあります。

機械化によって仕事が奪われる

AI技術やロボットの発展により、様々な仕事が機械化されていくでしょう。医療の分野でも診断やリハビリプログラム作成は機械で代替でき、既に活用している施設も存在します。

しかし、OTで必要とされること、重要なことは、同じ病気や障害を患った方でも一人ひとり感情や生活、目指すゴールが異なってくるという視点です。

対象者一人ひとりの病気や障害、生活、仕事、環境などを総合的に評価し、その方に寄り添いながら介入していく必要があります。

そのためには、コミュニケーションが重要な要素であり、OTの仕事は機械が代替することは難しいのです。機能回復を目的に対象者本人が一人でリハビリをこなせばよいということではなく、精神面も含め人の手が介入することの意義は大きいと言えます。

3.これからの作業療法士(OT)に求められること

時代の変化やOT人口の増加に伴い、これからOTに求められることはより明確化していくでしょう。

世の中や対象者に必要とされるOTになるために、これからご紹介する3つのポイントを意識しながらOTの道に進むことが重要となっていきます。

他人に負けない得意分野

OT人口が増え、以前よりも働くための競争が激しくなることは間違いありません。そんな中で、様々な分野や働き方の選択肢があるOTにとって、自分の得意領域や専門性を高めていくのは必要不可欠になります。

異なる領域をそれぞれ経験し、自分の目指したいOTや強みを見つけていくでも良いですし、興味のある分野をより突き詰めて勉強し、スキルとして他の専門資格と掛け合わせても良いと思います。

資格取得がゴールではなく、OTとして臨床現場に出てからも常に学び身につけていく職業です。あなたにとって、他の人には負けない得意分野を身につけていってください。

制度や国の方針変化を見逃さず、先を見据えて動ける力

OTが医師の指示の元提供するリハビリは、主に診療報酬や介護報酬の規定に沿って実施されます。これらは国の方針や医療介護の在り方に合わせて定期的に見直されるものです。

これからのOTは、医療・介護報酬改定から医療介護分野に対する国としての方針を読み取り、求められるOTになるために勉強やスキルアップ向上、働き方を柔軟に変化させていく必要があるのです。

幅広い知識と多職種との連携力

近年OTは働く場所として今までオーソドックスであった病院や施設だけに留まらず、訪問リハビリや教育機関、行政などより地域に密着し、活動の幅を広げています。

元々、対象者に合った最適なリハビリを提供するためには多職種連携は必要不可欠とされていましたが、地域の現場に出ていくようになり、働く分野が多様化してきたことで、医療介護分野のスタッフだけではなく、様々な関連職種と連携していく力が必要とされるようになりました。

それに伴い、身体・精神機能面や生活だけでない幅広い知識やノウハウを使ったアプローチが求められます。

4.まとめ

作業療法士(OT)の将来性とこれから目指す上で知っておくべきことをご紹介してきました。

変わりゆく時代の中で、様々な職種がニーズに合わせて形を変えていくでしょう。

そんな中で、OTという仕事は病気や障害を診るのではなく“人をみている”のだということ。そのことは変わることがなく、求められるOTとして、よりやりがいのある仕事となっていくのだと思います。

OTという仕事を知り、ぜひ誇りをもって挑戦していってほしいと思います。

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【参照サイト】
日本の労働人口の49%が人口知能やロボット等で代替可能に