【理学療法士・作業療法士向け】理学療法などに生じる責任とは

2020-10-26 15:30:00



理学療法士・作業療法士の仕事は、けがや病気で障害を抱えるようになった患者さんが社会復帰するのをサポートする大切な仕事です。高齢者や障害を抱えている方を相手にするので、リハビリ中の事故などが生じないようにする責任もあります。

今回は、理学療法を行ううえでの責任や事故予防のために必要なことなどについて解説します。
目次

法律上の理学療法の定義


理学療法士(PT)の業務については「理学療法士および作業療法士法」という法律によって定義されています。

それによると理学療法とは「身体に障害のある者に対し、主としてその基本的動作能力の回復を図るため、治療体操その他の運動を行なわせ、および電気刺激、マッサージ、温熱その他の物理的手段を加える」ことです。

つまり、理学療法は病気、けが、高齢、障害などで運動機能が低下した状態にある患者さんに対して、運動機能の維持や改善を目指して運動、温熱、電気、水、光線などの物理的手段を使って訓練などを行う治療ということになります。

理学療法士が行うのは医療行為なのか


医療行為は本来医師が行うものですが、医療の細分化・専門化が進んできた現在、それを補助する医療専門職が誕生しました。理学療法士や作業療法士もその一つです。

つまり、本来医師が行う医療行為の一部を、理学療法士が補助行為として施行していることになります。そのため、医師が自ら行った場合と同等の行為とみなされ、医師からの指示を受けたうえで治療を行うことになります。

とくに、リハビリを行うときに対象者のほとんどが運動機能に障害を抱えている患者さんであることや、全身的な合併症などを持っている患者さんも多いことを考えると、安全管理に十分注意すべき分野であると言えます。

理学療法を行う上で生じる責任


理学療法を行う上では「民事上の責任」「刑事上の責任」「行政法上の責任」という3つの責任が生じます。それぞれの責任について詳しく説明していきます。

民事上の責任


これは、おもに患者さんに対して負う損害賠償責任になります。法律上要請されている注意義務を払わずに何らかの損害が生じた場合、賠償責任が生じます。

具体的には、先ほども述べたように理学療法士は医師の指示に従うことが求められていますが、医師の指示に従わなかった場合、責任を問われます。

また、医学的根拠があるとされる理学療法の水準にかなっていない治療を行った場合も、当てはまります。このため、普段理学療法を行う際には、医学的文献のような根拠にもとづいて従事することが大切です。

刑事上の責任


これは刑法という法律に照らしたとき、違反すると刑事裁判が行われてから刑罰が科されます。具体的には罰金や禁固、懲役などがあります。

医療事故の場合は、刑法 211 条(業務上過失致死傷等)が問題になりますが、これは「業務上必要な注意を怠り、よって人を死傷させた者は、五年以下の懲役若しくは禁錮又は百万円以下の罰金に処する。重大な過失により人を死傷さ
せた者も、同様とする。」というものです。

もし理学療法で注意義務違反によって人が死傷した場合、この罪に問われる可能性があります。

行政上の責任


これは一定の理由がある理学療法士に対して、国が課す免許取消や停止などの処分のことです。具体的には「理学療法士および作業療法士法第4条」に「罰金以上の刑に処せられた者」に対して厚生労働大臣が免許を取り消したり、期間を定めて理学療法士の名称の使用の停止を命じたりすることができるとされています。

事故予防に必要な意識


最後に医療事故を予防するためにどのようなことに注意すべきか、まとめてみました。

訓練処方箋に基づくリハビリを行う


最新のリハビリテーション訓練処方箋の内容に基づいて、リハビリを行います。もし処方箋の内容に不備や不明な点があるときは、すぐに医師に確認して必要ならば修正を依頼します。

患者の安全を確保する


リハビリで使用する施設や設備、機器の管理に努めます。訓練室や屋外訓練スペース、廊下や階段などの水漏れによるスリップなどに注意したり、設備や器具に異常がある場合には、すぐに使用を中止して迅速に修理や交換をしたりします。

リハビリ中に起こるアクシデントに備える


リハビリ中に患者さんの体調が急変することもあります。看護師からその日の看護情報を取得して全身情報を確認することやその日の体調を前もって確認することも重要です。

また、治療中は患者さんから離れないようにし、治療中の休息時にも安全に気を配ります。必要な場合には応援を依頼して数人で対応するようにしましょう。

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