病院や介護施設で働く理学療法士(PT)をみたことはあっても、将来目指したいと思った時、どのような雇用形態で働いているか気になることも多いのではないでしょうか。

PTは、正規雇用のイメージが強いかもしれませんが、パートやアルバイトという雇用形態で働く理学療法士も多くいます。

今回は、理学療法士が働く上で、どのような雇用形態があるのか、それぞれの働き方や給与などの特徴を、分かりやすくご紹介していきます。

1.理学療法士(PT)の雇用形態

理学療法士(PT)の雇用形態は大きく分けて「常勤」と「非常勤」に分けることができます。

常勤と非常勤は主に勤務時間の長さで区別され、常勤は一般的な企業における正社員と同じように、病院や福祉施設の正規職員としてフルタイムで週5日働く雇用形態をさし、非常勤は一般的なパートと同じように1日5時間で週3回などフルタイムの勤務時間に満たない雇用形態をさします。

PTが働く病院や介護施設では、診療報酬や介護報酬を算定するための施設基準を満たす必要があり、定められた人数の常勤PTを配置しなければなりません。そのため、病院や施設は常勤で働くPTを求める傾向にあることから、PTの多くが常勤で勤務をしています。

近年は、働き方改革により、複数の非常勤PTを常勤として換算できるように制度が緩和されたことから、非常勤でも働きやすい環境が整いつつあり、出産などで職を離れたPTが非常勤として復職するケースも増えてきています。

2.常勤の理学療法士(PT)

まずは、常勤で働く理学療法士(PT)について見ていきましょう。後ほど解説しますが、ここでは常勤を正規職員として紹介していきます。

常勤の働き方

常勤で働くPTは、休日出勤はあるものの、医師や看護師など他の医療従事者とは異なり、夜勤で働くことはありません。

そのため勤務する時間帯は、非常勤PTと同じ時間帯となります。

勤務先によっては残業が求められるケースもありますが、夜勤で働くことがないため、勤務時間や勤務体系が安定している点が特徴です。

常勤で働くPTの年収や福利厚生

病院や介護施設の就業規定に則り、年収や福利厚生が決まります。勤務先によっては年俸制のところもありますが、月給制が主流です。

福利厚生については、交通費支給や住宅手当などのほかに、職員旅行などのイベントや個人旅行の補助金、テーマパークなどの割引などが利用できるところもあります。

そのほかにも、個人で管理をすると費用がかさみがちな白衣の支給や、クリーニング代を病院や施設が負担しているケースもあるため、就職先の福利厚生について調べておくと安心です。

常勤のPTに求められること

常勤のPTは、患者様のリハビリテーションに関わる業務だけでなく、経験年数に伴いチームリーダーや役職につくなど組織の一員となってリハビリテーション部を支える重要な役割を担います。

新人指導や臨床実習の指導員(バイザー)を努めたりするほか、病院や施設における委員会にリハビリテーション部を代表して参加したり、部外の仕事を務めることもあります。

リハビリテーション部内だけでなく、他部署との連携をとりながらリハビリテーションスタッフが働きやすい環境を作っていくことも常勤PTの重要な役割といえるでしょう。

正社員や契約社員、フルタイムパートなどは事前に確認を

常勤とは一般企業での正規職員のようなものとして紹介してきましたが、厳密には常勤=正規職員とは限りません。常勤PTとして雇用されていても、実際には契約社員や非正規職員として雇用契約を結んでいる場合もあります。

正規職員と非正規職員では、給与だけでなく、昇進の可否も異なるため、求人に「常勤」のみ記載されている場合には、正規職員としての雇用であるか、必ず事前に確認するようにしましょう。

3.非常勤(パート)の理学療法士(PT)

次に、非常勤(パート)のPTはどのような働き方をしているのでみていきましょう。

非常勤よりパートの方が正社員と区別しやすいため、ここではパート表記を中心に解説していきます。

パートの働き方

日本におけるリハビリ職は、女性が占める割合も多いため、子育てや主婦業と両立しやすいパート勤務は、結婚後の女性PTにとって働きやすい勤務形態といえます。

正規職員として働いていた病院や施設で、契約をパートに変更し、再び働き始めるケースもあり、雇用をする側にとっても雇いやすい点が大きなメリットでもあります。

また、性別に関係なく複数の病院や施設で非常勤として働き、生計を立てているPTもおり、一般的なパートやアルバイトよりも時給が高い傾向にあるPTだからこそ可能な働き方ともいえるでしょう。

パートで働くPTの年収や福利厚生

PTとして働くには、たとえパートであっても国家資格が必要になります。そのため一般的なアルバイトに比べて時給は高めです。

病院やクリニックなどでは時給1,500円前後、訪問リハビリテーションではやや相場が高くなり2,000円前後での求人が多い傾向にあります。

近年は、複数の非常勤PTによる常勤換算が可能になったことからパートの需要は伸びてきており、特に訪問リハビリテーションでは高単価で募集しているところもあります。

福利厚生については、有給休暇のほか交通費支給、社会保険を完備しているところが多く、パートであっても賞与が付与される病院や施設もあります。ただ、正規職員に比べるとその範囲は限られており、どの程度まで福利厚生が利用できるか確認しておくと安心です。

パートのPTに求められること

PTの仕事は、専門性が高く、資格取得後も学ぶことが多いため、新人でパートとして働くケースはほとんどありません。パートとして働くPTは、過去に他の病院や施設で経験を積んでいる人がほとんどで、即戦力としての活躍が期待されています。

また、職場内において正規職員は管理業務を担う分、臨床に関わる時間が少なくなることもあるため、経験のある非常勤PTが臨床業務をフォローするケースもあります。

近年は365日リハビリテーションを提供している病院も増えており、平日に休日をとるシフトの場合もあります。常勤PTは担当制となっている場合がほとんどですので、休日のスタッフの代行として、パートが1日だけリハビリテーションを担当するなど臨機応変な対応を求められることもあります。

このように、パートで働くPTには、あらゆる状況でも柔軟に対応できる能力が求められており、勤務時間が少ない中で、素早く状況理解していくことが大切です。

非常勤の種類もさまざま

一般的には、フルタイムに満たない短時間労働を非常勤としており、パートもしくアルバイトという形態で雇用されます。ただ、、中には正規職員と同様の勤務体系でも、契約社員として雇用契約を結ぶことがあります。

その場合、給与の違いだけでなく、社会保険等の加入はできても退職金制度などの福利厚生がない場合もあるので、注意が必要です。また正規職員よりも契約を打ち切られる可能性が高くなるため、不安定な雇用形態であることは否めません。

また、整体院など医療機関や福祉施設以外の施設おけるPTの求人では、業務委託という形で雇用契約を結ぶケースも稀ですが存在します。腕に自信がある人は、歩合制の業務委託で働くことで、正規職員より高い収入を得ることも不可能ではありません。

4.常勤・非常勤で働くことの違いやメリットデメリット

前述したように、常勤と非常勤では雇用形態の違いにより働き方が異なります。どちらの雇用形態を選ぶにしても、今後どのようなキャリアを積んでいきたいのかを考えて、雇用形態を選択することが重要です。それぞれ正社員・パートと仮定し、改めて違いを見ていきましょう。

例えば、正社員として働くことは、臨床以外の管理業務などが増えてしまう可能性はあるものの、安定した収入と雇用がある点は大きなメリットといえます。

また、基本的には福利厚生はその全てが対象となり、結果として経済的な負担を軽減することにもつながります。また、正社員であれば社会的な信用も高く、仕事以外でも役に立つ場面が多いといえるでしょう。

逆に、パートとして働く場合は、働く時間や日数に制約が少なく、自分のプライベートを優先させた働き方ができる点が魅力です。

正社員のメリットとなる部分を享受することはできませんが、いろいろな病院や施設で経験を積むことができ、頑張りよっては正社員では到達できないような収入を手に入れることもできるため、いろいろなことにチャレンジしたい人にとっては魅力的な働き方といえるでしょう。

5.まとめ

理学療法士(PT)は専門性の高さから、非常勤でも高い収入を得ることができます。

しかし、安定した収入や雇用、社会的な信用においては、一般的な雇用形態と変わらず、非常勤では正規職員に劣ってしまいます。

逆に自由度の高さは非常勤にはかなわないため、より自由に働きたいと思う人には非正規雇用が合っているといえます。

現代は自由な働き方も受容されてきており、自分のビジョンに合った働き方であれば正規、非正規を問わずチャレンジしてみる環境が整ってきているのかもしれません。

いずれにせよ、病院や施設ごとに契約内容が異なるため、しっかりと個々のメリットデメリットを比較検討した上で決断することは忘れないようにしましょう。

雇用形態について不安や不明点があれば、是非PTOT人材バンクのキャリアパートナーに遠慮なくご相談ください。
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