せっかく理学療法士(PT)の資格を取得して就職が決まったのに、働いてみるとやりがいが感じられない、頑張っているのに評価されない、仕事が忙しくて自分の時間が取れない…。

残念ですが、以上のような理由からPTになったことを後悔したという声を聞く場合もあります。

今回はPTになって後悔したと感じた際にどうしたら良いか、またどうすれば後悔しないようにできるかについて紹介します。

1.理学療法士(PT)によくある後悔

この章ではまず、PTによくある後悔について紹介していきます。

仕事が楽しくない

実際に働いてみると、職場環境や風土、上司・同僚との関係性などにより「思っていた職場と違う」「仕事が楽しくない」と感じ、PTにならなければ良かったと後悔してしまう人もいるようです。

福利厚生が充実しない

休日も自己研鑽のために学会や勉強会への参加が多く、それ以外にも教材や課題作成に追われて十分に休めない、有給休暇を希望通りに申請できないといった声も多く聞かれます。

また、残業手当が出ずサービス残業が常態化している実態もあるようです。

退職金は退職金制度がある理学療法士の職場で30年以上勤続していても、退職一時金が1,000万円未満のケースも少なくありません。

このような福利厚生への不満からPTになったことを後悔する人もいるようです。

退職金については以下の記事でもご紹介しています。興味がある方は参考にしてみてください。

理学療法士の退職金制度や相場について

給与が低い

令和3年賃金構造基本統計調査の統計データによると、PTの平均年収は4,265,400円となっています(年収には残業代や交通費なども含む)。さらに月給と賞与に分けると、月給は296,000円、賞与が713,400円です。

残業代を除いた年収は4,131,000円で、残業代や交通費を含めた年収と大差がなく、残業手当で得られる金額が少ない可能性が高いことがわかります。

これは、作業療法士(OT)・言語聴覚士(ST)・視能訓練士と合算されており、PTのみのデータではありませんが、公開されている求人などの情報ともほぼ一致しています。

国税庁の調査ではサラリーマンの平均年収が約433万円であることから、それと比べるとPTの平均年収は若干低いですが、少なすぎるということはないでしょう。

ただし、PTは診療報酬制度の問題、夜勤手当がない、施設経営の問題、若手スタッフが多いなどの理由により昇給しにくいともいわれています。

そのため、年齢や経験年数を重ねるごとに、他職種や異業種と比較して給与が安いと感じる可能性はあるでしょう。

給与については以下の記事でもご紹介しています。興味がある方は参考にしてみてください。

理学療法士の給料は安い?理由と年収の上げ方を紹介

職場での仕事にやりがいを感じない

初めて働く形態の場合、自分の希望とミスマッチが生じる可能性はあるといえるでしょう。

デイケアやデイサービスなどでは、比較的ゆっくりとリハビリ対象者の方と関われますが、変化が乏しく長期間働いているとマンネリ化してしまい、仕事にやりがいが見出せなくなることもあります。その結果、後悔してしまう人もいます。

残業・業務外活動が多い

就業時間内に仕事が終わらず、毎日残業しなければならなかったり、施設内での勉強会や研修が頻繁に行われ、その準備で就業後も残らなければならず、プライベートな時間が取れなかったりという理由から、PTになったことを後悔する人もいるようです。

人間関係

多くのリハビリ関連施設では他職種と協力してチーム医療を行いますが、専門性が異なる職種の方々とお互いに理解し合うのが難しい、双方への配慮が足りないなどの理由で人間関係が破綻してしまうケースもあります。人間関係の悩みが後悔に繋がるケースもよく耳にします。

2.理学療法士(PT)となって後悔しないために

PTになったことを後悔しないようするにはどうしたら良いでしょうか。大切なポイントをいくつか紹介していきます。

まずは職場選びから

「仕事が楽しくない」という理由でPTにならなければ良かったと思っている場合、働いている職場の環境が影響している場合があります。

上司や同僚との関係性、職場環境や風土などが自分に合っていない可能性もあるので、  楽しくないと思う理由や、反対にどういった環境であれば楽しめるかを考えてみると答えが見えてくることがあります。

職場環境が合っていない場合は、思い切って転職を考えてみても良いかもしれません。

福利厚生が充実しない場合は転職を視野に入れる

人間関係や仕事について不満はないけれど、前述のように休暇や各種手当、退職金などの福利厚生に不満がある場合も転職を視野に入れることをお勧めします。

福利厚生は自分でどうにかできる問題ではないため、転職が後悔解消への最短ルートかもしれません。

年収は必ずしも転職だけではない

新しい資格取得や管理職への昇進で年収アップを狙えますが、公的保険内で診療を行う場合はPT一人あたりの売上額に上限があり、大幅な年収アップは期待できないかもしれません。

副業で年収額を増やすこともできますが副業を禁止しているところもあるため、その場合は転職をするしか解決方法はないかもしれません。

施設形態も働きがいに影響する

職場での仕事にやりがいを感じないケースでは、病院や施設の形態が自分にあっていない可能性もあります。

その場合は、自分にあった形態に転職すると心境の変化があるかもしれません。

業務外活動は強制参加ではなく、自己研鑽も自分のペースでできる職場が理想

患者さんにより良いリハビリを提供するためにも日々の自己研鑽は大切ですが、まずは自分が無理なく働き続けられる環境に身を置くのが最優先です。

現状の職場で業務外活動への参加体制や自己研鑽のペースに悩みがある場合は、職場を変えると解決する可能性もあります。

3.後悔しないためには事前準備が大切

職場選びで後悔しないためには、事前のしっかりとした下調べが大切です。

初めて就職活動をする場合は少し難しく感じるかもしれませんが、就職先として検討したい職場があるならできる範囲での情報収集をおすすめします。

先輩や学校の先生を訪ねたり、実際に見学に行ってみたりするのも良い方法です。入念な下調べにより、入職後の「こんなことは聞いていなかった」といったミスマッチや後悔する可能性もぐっと少なくなります。

転職の場合は転職エージェントを利用するのも一つの手です。エージェントは転職先について多くの情報を持っており、希望する条件にできるだけ近い求人を提案してくれるだけでなく、面接や見学のセッティングなども行ってくれるため転職活動を楽に進められます。

どの転職エージェントを利用すれば良いか迷う場合、まずはPTOT人材バンクにご相談ください。

4.理学療法士(PT)が合っていないと感じる方へ

PTとして働いてみたけど、予想以上に仕事が辛く仕事をやめたい、患者さんとの関わりの中で自分には向いていないと思うなど、PTとして仕事を続けていくか悩んでいる方もいるかもしれません。

最後にそういった状況の方に、一言、二言お伝えしたいと思います。

ある程度の経験を経てPTが合わないと感じている方へ

何年か働いてみてPTが合っていないと感じる場合は、具体的にどんな理由でそう思うのかを一度洗い出してみましょう。職場環境なのか、仕事内容なのか、自身の適性としてそう感じるのか、理由はたくさんあると思いますが、PTという職業を辞さなくても解決できる場合もあるかもしれません。

職場環境を変えると心境の変化が生じることもあるので、転職を検討してみるのも良い方法です。また、PTとしての自分が職場に対して何を優先したいのかを明確にしてみましょう。

100%自分の理想とする条件に合致する職場というのはほとんど見つかりません。勤務時間、休日日数、給与、福利厚生など自分が譲れない部分をはっきりさせておけば、自分に合いそうな職場は見つけやすくなってくると思います。

妥協できること、できないことを考えて、職場を探し、新たな環境で働いてみるとPTとしての新しい自分が見つかるかもしれません。

一方で、自身の適性としてPTが向いていないと感じる場合は、無理にPTを続ける必要はないと思います。違う職業を探し、新たな道で頑張るのも一つの方法です。

やりたいことがある場合は問題ありませんが、特にやりたいことがない場合、闇雲に仕事を探しても転職を繰り返すだけになってしまうケースもあります。どんな仕事を探す場合でも自分の優先順位を明確にして、焦らずじっくりと検討するのが重要になってきます。

PTが自分に合わないなと感じている学生さんへ

PTを目指して勉強しているけれど、どうも自分はPTに向いていないのではないかと考えている学生の方もいるかもしれません。

そんな方も、まずはどうしてそう思うのか客観的に理由を探してみましょう。理由がはっきりしないうちに違う道を模索するのはあまりおすすめできません。学校の先生に相談できるのであれば、話をしてみてください。

もし、病院実習等を終えてそう感じるのであれば、実習で訪れたもの以外の形態の病院や施設に見学に行ってみるのも良いかもしれません。実習で見られるのは一部の施設だけです。特に維持期のデイサービスやデイケア、個人クリニックなどは実習で訪れる機会は少なく、未知の世界かもしれません。

新しい職場の環境を肌で感じ、PTとして働いている自分を想像できるようになるかもしれません。

PTが自分に合わないと感じていて、他にやりたいことがある場合は、自分で納得した上でその道を歩んでいくのも良い選択です。大切なのは自分で自分の選択に責任を持つことです。その覚悟があれば、どんな道でも切り拓けると思います。

5.まとめ

今回は理学療法士(PT)として働く上で後悔しないために抑えておきたいポイントについて紹介してきました。

何かを選択するという行為においては、時に後悔を伴うかもしれません。選択しなかった方の道が良く思えることはしばしばあります。

PTとして働くことに限らず、自分が何を大切にしたいかをしっかり持っていることが後悔しない選択の一助になってくると思います。

今回の記事が皆さんの職場選びの参考になると幸いです。
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【参照サイト】
令和3年 賃金構造基本統計調査 職種(小分類)別きまって支給する現金給与額、所定内給与額及び年間賞与その他特別給与額(産業計)
令和3年 賃金構造基本統計調査 職種(小分類)別きまって支給する現金給与額、所定内給与額及び年間賞与その他特別給与額(産業計)(役職者を除く)
令和3年 賃金構造基本統計調査 職種(小分類)、年齢階級別きまって支給する現金給与額、所定内給与額及び年間賞与その他特別給与額(産業計)
令和3年 賃金構造基本統計調査 職種(小分類)、年齢階級、経験年数階級別所定内給与額及び年間賞与その他特別給与額(産業計)