理学療法士(PT)として長く勤めてきた方の中には次のステップとして管理職を目指したいと考えている方もいるのではないでしょうか。管理職になると、セラピストとしての仕事に加えてスタッフや収益のマネジメントなどの管理業務を行う必要が出てきます。

今回は、管理職になるためにはどのような方法があるのか、どういった業務を行う必要が出てくるのかといった点について紹介していきます。

1.理学療法士(PT)が管理職になる方法

まずは、PTが管理職になるためにはどのようは方法があるのか見ていきましょう。

同じ施設に勤め続ける

同じ施設や病院に長く勤めることで、管理職へ昇進する方法です。ただ、勤続年数が長いからといって、普通に働いているだけではなれるものではありません。

管理職を目指したい場合は、普通の診療業務に加えて、管理業務を全うできる責任や能力があることを上司や人事にアピールすることが重要です。診療グループや業務上の係などがあれば、そのリーダーや取りまとめ役を買ってでるなど、積極性が必要になってくるでしょう。

管理職を募集している施設に転職する

時に「管理職候補」や「管理職採用」の求人募集をかけている施設や病院もあります。こういった求人に応募し、採用試験に合格した場合は、比較的短い期間で、または採用後すぐに管理職になることができる場合があります。

ただ、こういった求人については求められる能力も高く設定されていることが多く、それまでの経歴やスキル・知識などを複合的に見て採用の判断をされるため、狭き門とはなってきます。

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2.管理職になるために理学療法士(PT)が身に着けたいスキル

管理職を目指す上で、PTが身につけておきたいスキルにはどのようなものがあるでしょうか。こちらの章ではこの点について詳しく見ていきましょう。

コミュニケーションスキル

管理職になると、様々な部署のスタッフと関わることも増えてきます。リハビリ業務のことだけでなく、経営などセラピストとしての業務以外のことで話をしなければならない場面も出てきます。

そういった際に、対応できるコミュニケーションスキルがあると、やりとりを円滑に進めることができるでしょう。他部署のスタッフと良好な関係性を構築しておくのも管理職としては重要です。

時間管理術

管理職に就くと、セラピストとしての業務と並行して管理業務・マネジメント業務をこなしていかなければなりません。また、会議への出席なども増えてくるので、業務だけに充てられる時間は減ってしまいます。

単純に業務量が増える訳ですから、これまでと同じペースで仕事をしていたのでは残業ばかりが増えていきます。業務に順位をつけて、限られた時間の中できっちりと仕事をこなしていく時間管理術を身につける必要があります。

教育者としての目線を持つ

部署の業務を管理するだけでなく、部署セラピストたちの教育にも携わらなければならない立場にもなってきます。

また、職場によっては職員だけでなく実習生の教育の統括を任されることもあるため、後進を教育するための視点や心構えも必要になってくるでしょう。

3.理学療法士(PT)の管理職に求められる能力

こちらの章では実際に管理職になった時に求められる能力について紹介していきます。

部下マネジメントスキル

管理職になると部署のスタッフの配置や業務内容の采配などを任されます。スタッフ一人ひとりの適正や性格などを見極めて、業務や役割を割り当てることが求められます。

また、スタッフの仕事へのモチベーションという観点から見ると、スタッフそれぞれの希望などを反映させていくことが望ましい場合もあり、この辺りの舵取りやバランスを調整する能力も必要になってきます。

パソコンスキル

現在では社会人として必須のスキルとなっていますが、医療や介護の現場ではなかなか浸透していないスキルの一つでもあります。

PTは養成校の教育課程の中で症例レポートなどの作成方法については学びますが、一般的な報告書や企画提案書などのビジネス文書の作成方法について学ぶことは稀であり、全くわからないといった場合もあります。

管理職になると、こういった書類の提出機会なども増えてくるため、書類の作成方法や文書マナーなどを身につける必要が出てきます。また、そういった作業を行うにあたり、文書作成ソフトや表計算ソフトといったソフトを使いこなせると業務時間も大幅に短縮できますので、こちらについても身につける必要があるでしょう。

傾聴力

傾聴力とは相手の話に耳を傾け、熱心に聞くスキルのことを指します。もともとは心理学用語でカウンセリングなどに用いられる技術の一つです。

職場によっては、管理職がスタッフと定期的に面談を行っているところも見られます。この面談でスタッフの仕事に対する姿勢や近況、ストレスなどをしっかり聴取できると、スタッフのマネジメントに活かすことができます。

4.管理職の仕事内容について

最後に管理職の仕事内容について、どのようなものがあるのか紹介していきます。

業務管理

第3章でも少し記載しましたが、部下への業務や役割の采配、また勤務スケジュールの調整などが挙げられます。また、部署の目標設定や、その達成度の評価、それに応じた業務内容の見直しなども管理職業務の範疇です。

目標設定に関しては、経営陣と他部署との関わり、また日々変わる環境やスタッフの成長に合わせて柔軟に、しかしブレずに達成できるものを設定する必要出てきます。

人事労務管理

給与面や労働条件などの調整を行う人事労務管理も管理職の仕事になってきます。具体的な内容としては適正な労働時間や給与の管理を行うことや、労働環境の安全・衛生面の管理、ハラスメントに対する対策などが挙げられます。

近年では、過度な残業などが行われていないか、パワハラ・モラハラなどの防止、労働者としての権利が適正に行使できているか(有給休暇や育児・介護休暇などの取得)などの事柄に社会的な注目も集まっていますので、コンプライアンスに則った管理が求められるようになっています。

人材育成

こちらも第3章で触れましたが、管理職になると、スタッフの育成にも目を向けなければなりません。組織として円滑に機能するために、スタッフ一人ひとりの成長が欠かせないからです。

スタッフとコミュニケーションをとって、それぞれの個性(強みや課題など)を把握し、どのように成長を促すと良いかを見極めながら、適切なタイミングで声をかけることが重要になってきます。

5.まとめ

今回は、理学療法士(PT)が管理職になる際に求められる能力やスキル、実際の業務内容につて紹介してきました。

一般的なスタッフと管理職の違いは主軸が「個人」にあるか「組織」にあるかだと思います。

管理職を目指したい方は、今回の記事で紹介した事柄を切り口にして、日々の仕事の中で「個人」で成果を出すことだけでなく「組織」で成果を上げるにはどうしたら良いかを考える習慣をつけてみると良いかもしれませんね。

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