対象者がQOLを上げるために運動能力の維持・増進を目指すとき、欠かせない役割を果たす理学療法士ですが、その仕事にはさまざまな辛さがあります。この記事では、理学療法士が辛いと感じるときとその解消法について考えてみます。

勤務内容が辛いと感じるとき

理学療法士は、対象者の体を支えたり移動させたりするため、とても体力を使います。さらに、腰痛のリスクも高くなります。そのため身体的な負担が大きいということが、辛さのひとつだといえます。そしてこの辛さが、現場で働く限り続くことになります。

また、自分が行っていることの成果が見えにくく、仕事へのモチベーションを維持するのが大変だという辛さもあります。リハビリテーションの効果とは劇的に表れるものではなく、長期間根気強く続けることによって少しずつ良い変化を得られるものです。

しかし時には、その点を理解してもらえず対象者から何も変わらないと言われてしまったり、実際に思うような結果が出なかったりする場合もあります。そのため、自分の仕事が成果を上げたという実感を持ちにくいのです。

そして、常に学習し続けることを求められるという負担もあります。医療は日進月歩であり、個々の対象者に合わせた対応をするためにも、知識と技術をアップデートすることが必要になるのです。

人間関係で辛いと感じるとき

理学療法士は、対象者自身がやる気をもって運動することをサポートしなければなりません。そのためには、細やかにコミュニケーションをとりながら信頼関係を築くことが必要ですが、時には対象者に心を開いてもらえないこともあります。そうなるとスムーズにリハビリテーションを進めることが難しく、何より気まずい空気の中で関わり続けることが辛いといえます。

また、医師や看護師などの他職種とも、方針を共有して連携するために適宜やりとりをすることが必要です。その中では、見解が一致せず険悪な雰囲気になったり、リハビリプログラムを軽んじられたりすることもあります。そのため、他職種とのコミュニケーションにも気を遣わなければならず、うまくいかないこともあるという辛さがあります。

職場環境で辛いと感じるとき

理学療法士は体力勝負の仕事です。しかし、施設に雇用されている理学療法士の人数が少ない場合、一人当たりが担当する対象者数が多くなってしまいます。このような環境では、疲労感が強く、時間外勤務も増える傾向にあるのが辛いところです。

また、本来は対象者と一対一でじっくりと関われるはずなのに、それが叶わない場合、不全感を抱くこともあるでしょう。急性期病院などに勤務していて、対象者の入れ替わりが激しい場合も同様です。

そして給与面を見てみると、理学療法士の平均年収は409万円とされており、全職種の平均年収500万円(令和元年賃金構造基本統計調査 )を下回っています。仕事内容に見合った収入を得られず辛いと感じる人も少なくないのではないでしょうか。

辛いと感じるときの解消法

理学療法士が仕事上の辛さを忘れられるのは、自分の関わりによって対象者の運動機能が向上したことを実感できたときだといえます。対象者自身にも運動機能が改善した感覚があり、感謝されると、なおさら達成感が強まります。この達成感を得るために、うまく仕事の成果を上げられるようにすることが、辛さの解消につながるのではないでしょうか。

具体的には、十分な休息やトレーニングで疲労を解消し、自分の身体を整えたり、同僚や他職種を巻き込んで楽しみながら学習できる環境を作ったりするのも良いでしょう。そのほか、対応が難しいケースには複数人のチームで関わる、業務改善を図って個々の負担を減らす、他職種と積極的にコミュニケーションを図り専門性をアピールするのも辛さの解消につながります。

それでも辛いと思う時には、転職も視野に入れてキャリアプランを検討することに取り組んでみるといいかもしれません。