作業療法士(OT)として就職活動や復職をする際、重要となるのは雇用条件ですよね。

雇用形態やその働き方、給与面などのみるポイントを知ることで、自らの希望に沿った就職活動ができるようになります。

ぜひ、この記事を見て参考にしてみてください。

1.作業療法士(OT)の雇用形態

OTの働き方には、常勤と非常勤がありますが、一般的に常勤とは正社員としての雇用を指し、非常期とは非正規社員としての雇用を指します。

常勤と非常勤の雇用条件の違いには、勤務時間の長さの違いのほかに、月給の支払い形態(固定給か時給制か)、賞与の支払いの有無、請け負う仕事量の違いなどがあり、勤務する事業所によってその実情は異なります。

2.常勤の作業療法士(OT)

まずは、常勤のOTの働き方をご紹介します。

常勤の働き方

勤務時間帯についてですが、常勤のOTの勤務時間は1時間の休憩を含んで9:00~17:00勤務であることが一般的です。勤務する病院や施設によっては、8:30からスタートしたり、17:30に勤務が終わったりする勤務先もあるようです。

また、回復期病院では、患者さんの一日における日常生活動作への介入を重視し、「早番」や「遅番」などの勤務形態があるところもあります。

常勤で働くOTの年収や福利厚生

下記の記事に詳しくまとめていますが、勤務先の規模や地域によって多少の違いはあるものの、OTの年収は、平均すると約418万円となっています。

年収のベースアップは勤務年数に比例して上がることが多く、キャリアを積み上げていくことで昇進も期待できます。男女差による年収の差は少ない職種なため、OTの世界は「女性だから出世できない」ということは少なく、女性の管理職も多く活躍している業界です。

福利厚生は事業所によって様々ですが、休日はある程度一般的な傾向があり、総合病院や有料老人ホーム、介護老人保健施設などでは、リハビリ専門職も土日休みとなる場合が多いです。

それに対し、「365日リハビリ」をうたう回復期病院などでは、土日祝日も患者さんのリハビリを行うため、お盆休みや年末年始も交代で出勤することになりますが、時期をずらして夏季休暇や年末年始休暇を取っているので、休日はしっかり確保できます。

常勤のOTに求められること

常勤のOTに求められる業務は、患者さんの個別リハビリの仕事以外にも多岐にわたります。リハビリ専門職を中心と自己研鑽の場としての勉強会の出席や運営なども含まれます。

さらには、リハビリ専門職以外のスタッフへ研修会などを開催している職場もあり、たとえば「介助の方法」「ポジショニングの基本」「認知症の方への対応」など、患者さんに関わる際に知っておくとよい知識を研修会で伝達する場合もあります。

また、日本作業療法学会への出席や学会発表を推進する職場もあります。学会は分野を問わず幅広く研究成果を発表する場でもあり、学会に参加し講義や発表を傾聴することで、新たな知識を得られます。

発表することで、自らがこれまで培ってきた知識や技術、リハビリの成果をまとめることができ、さらにそのリハビリ成果を第三者につたえることで、自らのキャリアや勤務する職場の広報活動にもつながります。

後進の指導育成も業務の一つで、リハビリテーション科がある専門学校や大学の学生の臨床実習を引き受けることもあります。

OTとしての勤務年数が何年あるかによって、担当できる学生の学年は異なりますが、リハビリ場面を見学させたり、レポートのチェックを行ったり、指導をしたり、学校の教官と連絡を取り合ったりと仕事は多岐にわたります。

OTを目指す学生の育成に協力することは、作業療法の現場の発展にも大きく寄与することであり、大切な業務の一つです。

正社員や契約社員、フルタイムパートなどは事前に確認を

これまで、常勤=正社員としてお話してきましたが、法律的に厳密に定められているわけではないので注意が必要です。

一般的には週30~40時間以上の労働者を常勤としており、細かな条件は働く施設や機関によって異なります。そのため、正社員として働きたい場合は、就職時に雇用条件を確認しましょう。

3.非常勤(パート)の作業療法士(OT)

次に、パートとしての働き方をみていきましょう。

パートの働き方

パートは、フルタイムパートと、シフト制で勤務する場合があります。

シフト制では、自分の生活スタイルに合わせて、週に働く日数や時間帯を調整でき、ライフワークバランスを重視したい方に向いている働き方です。

特に、小さいお子さんを育てている方や介護をしている方など、ご自身やご家庭の都合などによりOTの仕事以外に時間を使いたい方に向いています。

また、勤務先が副業を許可している場合では、二つの職場を掛け持ちしている方もいます。たとえば、訪問リハビリとデイサービスを曜日によって勤務日を変えている、OTの業務のほかに異業種でパートをしているなど、その働き方は多岐にわたります。

多様な働き方を取り入れることで、自分のライフスタイルに合った働き方を追求できます。

パートで働くOTの年収や福利厚生

パートの給料は一般的に時給で計算されることが多いです。時給は、年齢や勤務年数によって左右されます。特に訪問リハビリでは時給が高くなる傾向にあり、短い時間で効率的に稼ぎたい方にお勧めの職場です。

職場によっては、有給休暇が取得できたり、正社員ほどではないですがボーナスが出たりするところもあるので、雇用条件を確認するとよいでしょう。

また、育児・介護休業法によると、「入社後1年以上経過しており、子が1歳6か月に達する日までに労働契約が満了し、更新されないことが明らかでないこと」の条件を満たせば、パートでも育児休業を取得できます。

同様に介護休暇についても、「入社後1年以上経過しており、介護休業開始予定日から起算して93日を経過する日から6か月経過する日までに労働契約期間が満了し、更新されないことが明らかでないこと」の条件を満たせば取得できるとしています。

就職活動の際には、育児・介護休業の取得実績を確認しておくと、もし休業したくなった場合にも、休業中の業務の手続きがスムーズに進みます。

パートのOTに求められること

業務としては、患者さんのリハビリについては正社員とほぼ変わらない業務になります。しかし、実習生の指導担当を引き受けたり、学会発表をしたりするなどの業務は、主に正社員が担い、パートは補佐に回ることが多いです。

また、正社員としての違いとしては、時間給であるため残業が少ない、あるいはない場合が大半です。

残業がないというのは、ライフワークバランスから見てもとても良いことですが、言い換えると「時間内にカルテ記載や、リハビリの事前準備などを済ませるだけのスキルを持ち合わせている」ことも求められます。

そのため、カルテ記載などの事務作業やリハビリの訓練内容の考案・準備などに手間取りがちな、指導を要する新卒の職員には、パートはあまり適さない働き方かと思われます。

パートは、ある程度即戦力として求められている背景があります。それまで正社員として働き、ある程度スキルやキャリアを積んだ人が、自らのライフスタイルに合わせた時間で働いている場合が多く、実際の求人でも新卒採用のパートは少なく、中途採用である場合が大半です。

4.常勤・非常勤で働くことの違いやメリット・デメリット

これまで、常勤・非常勤について述べてきましたが、ここでは、それぞれのメリット・デメリットをまとめてみていきましょう。

常勤のメリット・デメリットは以下のようなものがあげられます。

【メリット】

  • 勤続年数に合わせ、定期的な昇給がある職場が多い。
  • さらに、勤続年数が長くなれば、管理職になり収入アップの可能性がある。
  • ボーナスや有給休暇、年金制度などの福利厚生がしっかりしている。
  • 勤務先によっては、勉強会や学会発表を経験することで、知識を深めていきやすいため、新卒の方やキャリアを積みたい方に向いている。

【デメリット】

  • 育児や介護、持病がある方などの仕事以外のことに時間を割かなければならない人には働きづらい。
  • 患者さんのリハビリ以外にも、業務が多い場合は残業が必要になることも。

それに対し、非常勤のメリット・デメリットは以下のようなものがあげられます。

【メリット】

  • 勤務日数・勤務時間が調整でき、ライフワークバランスを充実させられる。そのため、ある程度知識・スキルがあり、即戦力になれる人が向いている。
  • 正社員に比べると細かな業務が少ない傾向にあり、患者さんのリハビリに集中して取り組める。
  • 一つの職場にこだわらず、多様な働き方を追求できる。

【デメリット】

  • 昇給が少ないもしくはない、有給休暇が少ないなど、正社員に比べると福利厚生は不十分。
  • 新卒などキャリアが浅い人には向かない。
  • シフト制の職場では、自分の想定よりも勤務が少なくなる場合もあり、毎月の給料が安定しない場合もある。

5.まとめ

これまで、常勤・非常勤の働き方をさまざまな観点から説明してきましたが、大切なのはご自身が「働く上で何を重視したいのか」だと思います。

安定した収入やキャリアアップを望む方には常勤が向いており、ライフワークバランスを重視したい方には非常勤が向いています。ご自身が目指す作業療法士(OT)像、生活イメージを踏まえて、働き方を模索してみてください。

実際に二児の母である私は、子どもが学校に行っている時間帯にOTとして現場で働きながら、子どもの帰宅後は医療系ライターとして仕事をし、自分の生活スタイルに合わせて、仕事内容を使い分けています。それにより、家族との時間が増え、充実した日々が送れています。

現在就職活動をしている方、OTを目指している方がこの記事を読み、常勤・非常勤の違いを知り、どちらがご自身に合った働き方を考えるきっかけになると嬉しいです。

不明点があれば、是非PTOT人材バンクのキャリアパートナーに遠慮なくご相談ください。
作業療法士(OT)の求人・転職情報はこちら

関連記事

作業療法士(OT)の給料や職場環境に関するおすすめ記事をご紹介。

作業療法士_退職金

【参照サイト】
厚生労働省「育児・介護休業制度」ガイドブック