言語聴覚士(ST)に限ったことではないですが、転職を考える理由の一つに、「職場での人間関係」があります。仕事をする上で人間関係は大変重要なものであるため、上手くいっていないと仕事が辛いと思えるような原因にもなり得ます。

しかし、逆を言えば、人間関係さえ上手くいっていれば、今の職場が良いと思えたり、転職を考える必要性がなくなるケースも少なくありません。

また、転職しても同じように人間関係に悩むケースも多くあるので、自身でも人間関係を円滑にしていくためのスキルを身に着けることは大切です。

ここでは、STとして働いていく上で、人間関係を円滑にするポイントを紹介していきます。

1.職場内での人間関係を良好にする秘訣

職場内には、様々な職種の方がいます。リハビリスタッフ内でも、ST内だけをみても、人間性や考え方は多種多様で、色々な方がいます。

医療・介護現場では、そのような異なった価値観や考え方の人たちと一丸となってチームアプローチを進めていく必要性があります。

そこで、日頃から人間関係を良好に保っていると、リハビリのアプローチも進めやすくなり、あらゆる業務が円滑に行いやすくなります。そのための秘訣を紹介していきます。

自分の方が1歩引く

異なる意見をもった人と一緒に何かを進める必要がある際は、まず自分が一歩引いてみることを心掛けてみましょう。

自分の意見を持つことも大切ですが、それを押し通そうとすると反発にもあいやすいです。異なる意見の人とは対立することになり、対立したままでは何も進まず解決にもなりません。

逆に、一歩引いてみることで、相手も自分の考えを受け入れてもらえたと感じて心に余裕が持てるため、今度はこちらの意見を受け入れてもらいやすくもなります。

仕事だと割り切って対応する

自分が一歩引いてみたり、相手に合わせてみても、それでも上手くいかない相手も中にはいます。そういった相手に対して、どうしてだろうと考え続けていてもストレスになるだけです。

そういった苦手な相手に対する対応も、仕事のうちだと割り切って対応すると心も軽くなります。時には、割り切ることも大切です。

ほかの部署の人に相談する

こういった場合の対処法はどうしたら良いかなど、同じ部署の人だけでなく、他部署の人に相談することで、すんなりと解決することもあります。別の部署の人は、同じ部署の人とはまた違う視点で物事をみていることが多いため、新しい切り口での解決策が得られることがあるのです。

また、人間関係で何か問題が起きている場合も、他の部署へ相談した方がよいこともあります。人間関係が元で、業務が円滑に進められないことは、業務へ支障をきたす要因にもなっているので、改善させる必要があります。

上司や、関連する部署の責任者、人事や教育に携わる人などに現状を報告し、困っている内容を相談してみると良いでしょう。自分だけでは解決できない問題でも、その部署の責任者や人事担当者などが上手く解決させてくれることがあります。

2.患者さんとの人間関係を良好にする秘訣

STとして働いていくためには、職場のスタッフとの人間関係だけでなく、患者さんとの人間関係も非常に大切です。患者さんにとって、担当スタッフは関わる頻度も多く、関係性によってリハビリへのモチベーションも変わって来ます。

患者さんが、毎日前向きな気持ちでリハビリに取り組めるように、人間関係には特に気を付けていきましょう。

症状を受け入れにくい患者さんの場合

患者さんの中には、前向きな方だけでなく、やはり自身の障害や病気、症状などを受け入れられず、ふさぎ込んでしまう方もいます。前向きになれないため、リハビリを拒否したり、精神的に不安定になることもあります。

そういった方に、無理にリハビリを進めてしまうと、精神的な負担を増やし、拒否へと繋がっていってしまいます。

まずは、話をしっかりと傾聴し、寄り添っていくことが大切です。患者さんも、話していく中で、考えが纏まっていったり、ため込んでいたものが吐き出せて気持ちがスッキリしてくることもあります。

そういった寄り添いを大切にすることで、信頼関係が築けていきます。

課題に取り組むのが難しい患者さんの場合

中には、課題に取り組むのが難しい患者さんもいます。意欲が引き出せていないと、十分なパフォーマンスも発揮されず、機能回復にも繋がりません。

意欲的に取り組めない場合は、取り組めない理由は何か、どういった内容であれば取り組みやすいのか考え、その患者さんのことをもっと知り、課題の内容や提示の仕方を改める必要があります。

既存の課題にこだわる必要はなく、患者さんの趣味や、やりたいことを取り入れて課題自体を楽しいと思ってもらえるような工夫をしていくと良いでしょう。課題の難易度や量を調節したりして負担なく行えるようにすることも大切です。

また、運動療法と違って、STのリハビリではその課題をやる意味や重要性がわかりにくいことも多いため、なぜ必要なのか、それを行うことでどのような効果がでてくるのかなど、きちんと説明したうえでリハビリをすすめていくことも大切です。

3.転職先で嫌われないために知っておきたいNG行動

転職した経験があるからこそ、やってしまいがちなNG行動があります。

転職をすると、自然と前の職場との違いを振り返ることがあると思います。前の職場と比べて良くなった点もあれば、一方で前の職場の方が良かったと思うところも中にはあるでしょう。

転職先で、「前の職場ではこうだったから、こうした方がよい」と引き合いに出すことは、基本的には敬遠されがちです。

職場によって、仕事のルールや流れはそれぞれです。まずは、そこの職場でのルールや流れに馴染むことから始めてみましょう。

4.困ったときは転職も視野に入れる

どんなに自分から人間関係を円滑にしようと努めていても、それでも上手くいかないことや、自分だけでは改善することが難しいこともあります。

また、一度人間関係に悩んでしまった環境で、改善させていこうとすることは、かなり労力や精神的な負担も大きくなります。

すぐに何でも投げ出してしまうのはよくありませんが、ある程度努力した上で判断し、転職も視野に入れるということは、気持ちの面でも少し楽になります。

今の職場で思うような人間関係が築けなくても、一度リセットした新しい環境で、同じような失敗はしないようにと努力していくこともできます。

人間関係が原因で、転職をしてよいかどうか迷ったら、周囲の人だけでなく、キャリアパートナーにも相談してみると良いでしょう。
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5.まとめ

仕事をする上での人間関係はとても重要で、重要なだけに悩みの種にもなることがあります。

人間関係は、どこの職場に移っても必ずついてくるもので、医療現場でSTとして働くには切っても切り離せないものです。

逆に、職場での人間関係を円滑に進めるコツが掴めてくると、職場環境は良くなり、働きやすい場所へと変わって来ます。コミュニケーションを専門に扱うSTだからこそ、人との関わりはより大切にし、人間関係を円滑に進められるような工夫をしていきたいですね。

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