「廃用症候群に対するリハビリテーションは何をするの?」

「廃用症候群リハビリテーションに携わる魅力って何?」

理学療法士(PT)として携わることも多い廃用症候群ですが、これまでに携わったことがない方などは、多くの疑問があるでしょう。

そこで今回は、廃用症候群の基本知識からPTとしての役割について紹介しながら、廃用症候群リハビリテーションに携わる魅力について解説していきます。

ぜひ、今回の記事を参考にして、廃用症候群リハビリテーションへの携わりを検討してみてください。

1.理学療法士(PT)が廃用症候群リハビリテーションで求められる役割

健康長寿ネットによると廃用症候群は、病気や怪我により長期にわたって安静にしていることで、身体機能が低下し筋萎縮や関節拘縮など様々な症状を呈した状態を指します。

PTは廃用症候群の中でも、筋萎縮・関節拘縮・骨萎縮・心機能低下・起立性低血圧などの症状 がある患者様を対象に、運動療法を中心としたリハビリテーションを提供します。

こうした患者様へのリハビリ実施期間は、厚生労働省が定める診療報酬に基づき異なってきます。厚生労働省が定める「廃用症候群リハビリテーション料」を一部抜粋すると、次にように明記されています。

廃用症候群の診断又は急性増悪から120日以内に限り所定の点数を算定する。ただし、治療を継続することにより状態の改善が期待できると医学的に判断される場合には、120日を超えて所定点数を算定することができる。

つまり、基本的には120日間、廃用症候群に対してのリハビリが可能であり、「継続することで状態がより回復する可能がある」と判断された場合には、120日を超えてもリハビリできるということになります。

廃用症候群を呈した患者様は、長期の臥床や不動により身体機能だけではなく、精神面の落ち込みも生じている場合があるので、介入する際には患者様の精神面への配慮も必要となってきます。

また、病気や怪我を呈した患者様と同等または、それ以上に身体機能の低下が著しいためリハビリを実施する際には、バイタルサインや運動負荷量へ十分に注意する必要があります。

2.廃用症候群リハビリテーションでの仕事

理学療法士(PT)の、廃用症候群リハビリテーションでの業務内容について確認していきましょう。

勤務スケジュールやイメージ

廃用症候群リハビリに携わるPTの業務内容の一例は、以下の通りです。

基本的には、病院勤務の一般的な業務内容と同じですが、廃用症候群を呈した患者様は身体機能の低下が著しいため、他の患者様と異なり、ベッドサイドでリハビリを実施することが多くなります。

時間業務内容
08:30~09:00出勤、準備
09:00~09:15全体朝礼に参加
09:15~09:30リハビリテーション科ミーティング
09:30~12:00午前のリハビリ開始
12:00〜13:00昼休み
13:00~18:00午後のリハビリ開始(リハビリの合間に書類業務やカンファレンスへも参加)
18:00終業。記録業務などがあることも

PTによる廃用症候群リハビリテーション

基本的には廃用症候群の原因である臥床時間や不動を減らし、徐々に体力を付けることを目的としたリハビリを実施します。

しかし、先述したように廃用症候群の症状は心機能低下以外にも関節拘縮や筋萎縮など多岐にわたり、症状に合わせたリハビリが必要となります。

例えば、関節拘縮を改善するROMex(関節可動域訓練)や筋萎縮、起立性低血圧改善を目的とした、立ち上がり運動・スクワットなどの筋トレなど、症状や体調に合わせたプログラムを立案していくのです。

チーム医療の中で求められる役割

廃用症候群を呈する患者様の多くは、寝たきりや不動による原因以外にも低栄養状態なども影響するため、管理栄養士が介入し栄養状態の改善を図り、治癒力やリハビリ効果の向上をサポートしています。

また、リハビリ時間外にも患者様の活動量を上げることを目的に、看護師や介護士が協力し離床を促したり、介助下でトイレへ行き自排泄を促したりするなどの生活リハビリを行います。

チーム医療で行われる廃用症候群への対応で、PTは、リハビリ以外にも管理栄養士や看護師・介護士と情報共有を図ったり、病棟内での移動手段を検討し他職種へ伝達したりする役割があります

3.理学療法士(PT)が廃用リハビリテーションに携わる魅力

廃用症候群リハビリテーションは、他の疾患のリハビリテーションとは異なり、心機能の低下や筋萎縮など、様々な症状が複合的に影響を与えているため、それぞれに適した理学療法を提供しなくてはいけません。

廃用症候群リハビリテーションに携わると、複合的に絡み合った症状に対してきちんと評価するスキルや治療技術が身に付くなど、PTとして活躍する上で必要不可欠なスキルが総合的に身につくのは、魅力の一つと言えるでしょう。

また、廃用症候群リハビリテーションは、身体機能以外にも精神的に落ち込んでいる患者様を担当する場合が多いため、リハビリ時間以外にも患者様に寄り添いケアをしていくことに対して、やりがいや喜びを感じる方には、特にオススメです。

4.まとめ

今回は、廃用症候群のリハビリテーションに関わる理学療法士(PT)の役割とやりがいについて紹介してきました。

廃用症候群リハビリテーションにおけるPTの役割は、長期臥床や不動により低下した身体機能に対して、運動療法を中心に介入したり離床時間を確保したりすることで、身体機能を改善していくことです。

また、廃用症候群を呈した患者様は、精神的にも落ち込んでいる場合が多いため、身体機能面以外にも精神面へのケアも重要な役割となってきます。

廃用症候群リハビリテーションに携わることにより、PTとして必要不可欠な評価や治療技術が総合的に身につくのは魅力の一つと言えるでしょう。

ぜひ、PTとしてのスキルや経験アップを目指す方は、廃用症候群リハビリテーションに携わってみてはいかがでしょうか。

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【参照URL】
健康長寿ネット 廃用症候群

【引用URL】
平成28年度診療報酬改訂の概要(リハビリテーション関連)