患者側も体験してみて不安定で歩きにくく恐怖感を覚えた。リハビリを受けている患者様の気持ちがより深く理解できた。
20代 女性社内リハビリ体験会レポート理学療法士(PT)編
PTOT人材バンクの運営会社である株式会社エス・エム・エスには、理学療法士(PT)、作業療法士(OT)、言語聴覚士(ST)の有資格者がキャリアパートナーとして在籍しています。キャリアパートナーは入社後にリハビリ職に関する知識を身に付けます。しかし、座学中心で、求職者様の仕事内容や実際のリハビリをイメージするのが難しく、求職者サポートに課題を感じる社員が多数いました。
そこでリハビリ職の職業理解の一環として、理学療法士有資格者が講師となり、リハビリ体験会を実施しました。装具装着による歩行や立位体験を行いましたので、その様子をお伝えします。
理学療法体験会の目的
- 現場の理学療法士の方々がどのような仕事をされているのか、体験を通してイメージを持つ
- 特殊な装具を身に着けて患者様側の不自由さ、動作の大変さを体感する
- 理学療法士に介助される患者様の気持ちになってもらい、理学療法士の社会的意義を理解する
上記を深めることでキャリアパートナーとしての知識・専門性向上を図る
概要
下記症例を想定し、片麻痺疑似体験セットを用いて軽~中等度介助での立ち上がり練習・歩行練習等を実施しました。
- 主訴
- 独りで立ち上がれない。独りで歩けない。
- 年齢/性別
- 70代/男女
- 体格
- 身長150cm~170cm、体重40kg~70㎏
- 現病歴
- 脳梗塞後の右片麻痺、中等度感覚鈍麻
- Brs
- 上肢stageⅣ、下肢stageⅣ、手指stageⅣ
理学療法士有資格者による実演後、チームに分かれて有資格者がサポートに入りました。
体験中は実際の臨床業務をイメージできるよう、重症度が高い患者様の歩行練習の動画投影も行いました。体験後は社員同士で感想を共有したり有資格者に質問したりして、理学療法士の職業理解を深めました。
実施項目
1理学療法士
有資格者による説明・実演
実施目的や症例の紹介を行いました。実演では、想像以上に立ち上がりづらさや歩きづらさがあるため、机や杖、有資格者のサポートを活用するなどの注意点を伝えました。
2装具装着
有資格者による装具装着。下肢装具は内反足かつ底屈形状で立位時にバランスを崩す恐れがあるため、有資格者がしっかりと支えました。
3立位訓練
椅子からの立ち上がり
高齢者に多い姿勢(浅座りになり椅子から滑り落ちて転倒、左右どちらかへの傾き、前傾姿勢など)を再現し、その姿勢からの立位の困難さや、どのような工夫・注意喚起を行えばスムーズに立位可能かなどを体験しました。
使用装具
疑似体験セット まなび体(片麻痺用)
参照 株式会社特殊衣料 疑似体験セットまなび体≪片マヒ用≫
http://www.tomoni.co.jp/product/manabitai/index.html
※参照画像内の番号および矢印は筆者追記
①腰サポーター
マジックテープで脇腹に固定することで片麻痺特有の姿勢を疑似的に作り出す
②下肢装具
内反足で底屈の形状になっており、自然に膝関節が曲がらなくなる仕様
3本のベルトで右足をしっかりと固定
底には滑り止めシートが張ってある
③杖
身長によって長さ調節可能、身長140~185cmまで対応可能
④肘サポーター
装着した右腕をマジックテープで脇腹に固定することで腕の麻痺状態と片麻痺特有の姿勢を疑似的に作り出す
リハビリ体験会を実施してみて
リハビリ体験会に参加した社員の感想を一部紹介します。
理学療法士のアドバイス1つで立ち上がりがとてもスムーズになり驚いた。
20代 男性今回の経験を通して、求職者様に向けて回復期から在宅復帰での業務説明を行う際に具体的なエピソードを交えながらお話できると思った。
30代 女性求職者様との面談時に疾患の対応歴やスキルの確認をより細かく行おうと思った。
30代 男性リハビリやリハビリ職の方々の仕事に対して具体的なイメージを持つことができた貴重な機会となりました。
今回の体験を通し、求職者の方々の職業理解が深まった社員が多いと感じたため、今後も定期的に勉強会を実施していきたいと考えています。