仕事をするうえで年間休日や残業の有無は、ライフワークバランスに大きく影響します。

作業療法士(OT)として就職先を考える際やOTという職を考える際、労働環境について気になる方も多いのではないでしょうか。

そこで今回は、OTの休日や労働環境などについて詳しくご紹介します。ぜひ参考にしてみてください。

1.作業療法士(OT)は年間休日110日がベース

まずは、基本的な年間休日の規則を踏まえつつ、OTの年間休日をみていきましょう。

年間休日とは、「職場の1年間の休日の合計日数」のことをいい、有給休暇による休日や忌引きはあてはまりません。

実は、年間休日は法律によって具体的に定められているものではなく、最低限の休日のラインとして、労働基準法第35条で次のような規則が定められており、あとは経営者の判断に任されているのです。

使用者は、少なくとも毎週1日の休日か、4週間を通じて4日以上の休日を与えなければなりません。

厚生労働省「労働時間・休日」より

労働基準法の定める年間休日の最低ラインである「法定休日」は、1日8時間勤務の場合で105日となり、祝日や夏季休暇、年末年始休暇などを含めることで、大体120日前後となります。

OTの職場では、年間休日110日程度が多く、年間休日が120日程度ある職場の方が少ないかもしれません。

つまり、プライベート時間を重視したい方は、就職活動時に年間休日をあらかじめチェックし、年間休日の多い職場を選ぶことが大切になります。

2.作業療法士(OT)の休日は勤務形態の影響も大きい

年間休日のばらつきは、施設の勤務形態の影響が大きいです。

例えば、急性期や回復期の病院ですと、患者さんへ積極的なリハビリを推奨されるため、土日や祝日も出勤となることもあり、年間休日は比較的少なめになります。

反対に、病状や身体状況が安定している介護老人保健施設や有料老人ホームなどでは、土日休みを確保している職場が多く、年間休日は多めとなります。

土日休みかどうかは施設による

求人票などで週休二日制と記載があっても、それがイコール土日休みとは限りません。

シフト制の急性期病院や回復期病院、土曜日も営業している個人経営のクリニック、放課後等デイサービスなどでは、休みを平日にとることが多く、交代制ゆえに「土日休みはひと月で〇日」などと決まっていることもあります。

ご家庭がある方や土日に休みたいと思う方は、土日にどれくらい休めるのかを事前に確認することが大切です。確実に土日や祝日を休みたい方は、年間休日120日をうたう職場やカレンダー通りの休みが多い介護老人保健施設などの就職を検討してみてもいいかもしれません。

祝日は休めないことも多い

OTが年間休日110日前後になる理由は、週休二日制をとっている職場が多く、土日休みを確保できても、祝日は通常通り営業している場合が多いのが影響しています。

特に急性期病院や回復期病院などのシフト制の職場では、「1週間の中で2日休みを取る」というルールに基づきシフトを組んでいることも多く、祝日がある週でも休みは2日のままということがあります。

長期休暇は取得できることも多い

一方で、多少時期ずれはあるもののGWや夏季、年末年始などの長期休暇を確保できる職場は比較的多いです。

例えば、365日体制の回復期病院であっても、OTのスタッフ数は多い傾向にありますので、交代で休みを取ることができます。そのため、一般的な時期とは少しずれることもありますが、長期休暇を確保することができます。

しかし、リハビリ専門職自体の人数が少ない職場ですと、中々休みが確保できないというところもあります。

3.休日もセミナーや勉強会への参加が必要に

では、作業療法士(OT)は、休日をどのように過ごしているのでしょうか。

もちろん、買い物に行ったり、友人と遊びに行ったりとリフレッシュして過ごす方も多いでしょう。しかし、時には患者さんのリハビリをしていてわからないことが出てきて、調べ物をする日に当てたり、自己研鑽のために勉強会に参加したりする日に当てたりする人もいるでしょう。

作業療法学会の講演や、各種セミナーなどは基本的には土日に開催することが多いです。そのため、土日休みに勉強会へ参加する方も多いです。

OTは資格を取得してからも、勉強し知識を増やしリハビリ技術を磨く必要がある仕事です。もちろん、文献を読むなど独学の勉強も大切ですが、時には勉強会に参加し知識を増やしほかの参加者と意見交換をすることもとても有意義です。

そのため、土日休みが1日でもあると、勉強会などに参加しやすいです。また、職場によっては勉強会参加や学会発表を積極的に進めているところもあります。

私の職場がそうだったのですが、中には出張扱いで学会に参加させてくれ、学会参加日とは別に休日が確保できたり、学会参加費用を一部補助してくれたりする職場もあるので、自己研鑽を積みたい方は、就職活動時にその点もチェックしてみるといいでしょう。

4.作業療法士(OT)の労働環境について

最後に、OTの残業なども含めた労働環境をみていきましょう。

残業は比較的少ないが、個人の力量にも左右される

OTは、病院・施設ともに一日のスケジュールがあらかじめ決まっている場合が多く、そのスケジュールに則って患者さんにリハビリを実施するので、残業は比較的少ない場合が多いです。

患者さんのリハビリ自体は、だいたい16時や17時までに終わり、就業時間後に勉強会をする施設もありますが、実施は週に1回程度などと、毎日ではない場合がほとんどです。そのため、毎日残業が続くといった職場はあまり多くないでしょう。

ただし、新卒の方などは、患者さんの情報収集やカルテ記載などに手間取り、残業してしまうこともありますが、慣れていけばおのずと短くできると思います。

残業が気になる場合は、職場の一日の流れを聞き、勉強会やカルテ記載の時間を就業時間内に設けてあるのかなどを確認するといいでしょう。

リハビリはチームアプローチなため、スタッフ間で助け合える

OT の職場はほかのリハビリ専門職である理学療法士、言語聴覚士をはじめ、看護師や医師などと協力して患者さんと関わります。そのため、患者さんのリハビリ方針や関わり方などに迷ったときには、OT同士はもちろん、多職種と相談しあえる環境にあるといえます。

職場で困ったことやわからないことがあれば、一人で抱え込まずに誰かに相談しあえたり、参考になる勉強会を教えてもらったりできる環境なのが魅力的です。新人のうちは、時には指導を受けることもありますが、それも、後々には自らの糧・知識になることが多いでしょう。

一人職場では、自分のペースで働ける良い面がありますが、その反面ですべてを自分で判断しないといけない場面も多くあります。ある程度キャリアを積み、知識を持ち、自分で判断して行動できる人に向いているといえます。

職場によっては身体的負担が多い場所もある

急性期病院や回復期病院だと、患者さんの回復を間近で見れて、やりがいがある職場ではありますが、回復途中で障害の程度が重く介助量が多い患者さんも複数います。そのため、リハビリ場面での介助などで、腰を痛めたり体力を消耗したりする場合もあります。

その多くは、勤務を続ける中で自らの体の使い方を覚え、身体的負担が軽減される傾向にありますが、体力に不安がある方は、介助量の軽い方が多い職場に勤務するといいかもしれません。

例えば、自宅生活をしていてある程度自分のことができる方が多いデイケア・デイサービスや、比較的自分で動ける方が多い精神科での勤務などもいいでしょう。自分の体力に合わせて職場選びをするのも大切です。

5.まとめ

これまで、作業療法士(OT)の年間休日や労働環境についてみてきました。

自らに合った職場選びのポイントは、個々の事情によって変わるものです。例えば、平日に休みが取れることで混雑を避けて買い物に行けたり、テーマパークを楽しめたりと、平日休みならではの良いこともあります。

反対に、ご家庭を持つ方なら、お子さんの都合などほかの家族に合わせて土日休みが欲しくなるかもしれません。

自らのライフスタイルに合わせた休みを取れる職場、残業が少ない職場を選び、毎日を充実させられるといいですね。

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【引用サイト】
厚生労働省「労働時間・休日」より