近年では、作業療法士(OT)を目指す学生に向けた、インターンシップ制度を導入している医療機関や施設が増えてきています。しかし、インターンシップは実習と違い、必ず参加すべきものではないため、「参加した方がいいのかわからない」「参加しづらい」と感じる方もいるかもしれません。

今回は、作業療法士として就職を成功させるのに役立つ「インターンシップ」をテーマに、インターンシップの選び方や魅力、インターンシップを受ける時のポイントなどについて詳しく解説していきます。

1.作業療法士(OT)のインターンシップ先の選び方

せっかくインターンシップを受けるのであれば、自らの希望や関心にあった施設や病院を選ぶことで、より有意義な学びを得られます。インターンシップ先を選ぶには、いくつかのポイントがありますので、詳しく解説していきます。

就職希望先で選ぶ

すでに就職希望先が明確になっている場合は、まず就職希望先がインターンシップを実施しているか調べてみるといいでしょう。養成校が積極的にインターンシップ活動を推進している場合は、教員に相談するのも手です。

もし、気になる施設や病院がインターンシップを行っていない場合は、似たような環境(リハビリ対象となる患者さんの疾患、作業療法の内容など)を探してみましょう。

実施期間で選ぶ

インターンシップ先の活動内容に特にこだわりがない場合は、スケジュールを調整しやすい施設を選ぶのも手です。学校の授業があっても参加しやすいのは、土日や平日でも夕方以降も実施している施設でしょう。

反対に総合病院のような、診療時間が平日の9時から17時という場合は、夏休み期間中を活用するのがおすすめです。

実施期間も数日程度から長期のものまで、施設によって異なります。短期間であれば、複数のインターンシップに参加し、様々な体験を積むことができます。長期間であれば、一つの施設について理解を深められたり、先輩OTはもちろん、患者さんとじっくりと関われたりするという利点があります。

プログラム内容で選ぶ

将来的に自分が進みたい分野が決まっている方は、プログラム内容でインターンシップ先を選ぶといいでしょう。

インターン活動を通して、将来のビジョンを明確にすることができます。実際に仕事内容を見たり参加したりすることで、自らの適性も知ることにつながるはずです。

例えば、高齢者のリハビリに興味がある方であれば高齢者施設、精神科でのリハビリに興味がある方なら精神科のある病院など、自らが学びたい、仕事現場が見たいと感じるインターンシップ先を探してみましょう。

海外インターンシップもある

中には海外で実施するインターンシップもあり、将来的に海外で活躍できる人材になりたいとお考えの方におすすめです。

リハビリ先進国での作業療法に触れたいという方はもちろん、発展途上国でのスタッフのサポートをすることで、作業療法を学びながら社会貢献することが可能です。

海外インターンシップでは、現地のホストファミリーの自宅で生活をしながら、インターンシップに参加します。インターン活動がお休みのときは、様々な国籍の外国人インターン生と交流ができ、日本では体験できない作業療法の枠を超えた様々なスキルを得ることが期待できます。

このように海外生活では、ホストファミリーの方やスタッフなど現地の方と関わることが多いため、ある程度英語でコミュニケーションを取れることが、参加条件に挙げられます。

また、海外インターンシップと聞くと、長いインターン期間を想像されるかもしれませんが、中には1週間程度の短期間で参加できるものもあり、夏休みを活用して参加することができます。

2.インターンシップの流れ

ここでは、インターンシップの流れを見ていきます。インターンシップ前の準備や、インターンシップ中の心得などのポイントを解説していきます。

インターンシップで自分が何を学びたいのか、事前に考えよう

まずは、「インターンシップで何を学びたいのか」ということを整理しましょう。ただ仕事内容を見ているだけでは、有意義な学びは得られません。自分の学びたいことを整理することで、着眼点を持って見学でき、積極的に活動に参加できるようになります。

インターンシップへ行くことが決まったら、その施設の情報を詳しく調べるようにしましょう。どのような疾患の患者さんが利用しているのか、リハビリ室の設備やリハビリ内容の詳細などを知ることで、自分がそこで何を学びたいのかが明確にしやすくなります。

インターンシップ前には、当日のことを確認しておこう

インターンシップに参加する際には、清潔感のある髪型や身だしなみを心がけましょう。

当日の服装については施設に事前確認しておくと安心です。また、初日から見学だけでなく活動に参加することもあるので、動きやすい服装と内履きを用意するよう指示するところが多いです。中には白衣を貸与する施設もあるようです。

また、丸1日インターンシップに参加する場合は、昼食の準備なども確認しておきましょう。

インターンシップ期間中の流れ

長期・短期のインターンシップともに、初めに説明会や施設見学などのオリエンテーションをし、そのあとに実際の仕事見学や活動の補佐に入ることが多いです。説明を受けたことはメモが取れるよう、メモ帳や筆記用具を持参しましょう。

インターンシップ中のコミュニケーションの基本として、笑顔を心がけ、はきはきと話すことが大切です。協力してくださる先輩OTはもちろん、患者さんへの感謝を忘れず、丁寧な姿勢で接することを心がけましょう。

そして、一日が終わると、その日の最後に質疑応答の時間を設けてくれる施設も多いです。もし、見学中に疑問に思うことがあれば、積極的に質問をしましょう。積極的な姿勢は、自らの学びを深め、先輩OTからの高評価にもつながります。

帰宅後にした方がいいこと

特に複数日実施されるインターンシップの場合、仕事中にもっと詳しく知りたいと思ったことや、わからなかったけど質問しきれなかったことなどを積極的に調べることをおすすめします(患者さんの疾患や症状について自主的に詳しく調べてみるなど)。

自分で再度調べることで知識の定着を深められ、先輩に質問する際は内容が具体的になり、より的確なアドバイスがもらえるはずです。

インターンシップが終わった後にした方がよいこと

必ずしなければならないというわけではありませんが、インターンシップが終わったあと1週間程度をめどに、お礼状を出すと丁寧でしょう。

お礼状は、手紙のような長い文章ではなく、はがき一枚に感謝の気持ちやインターンシップで学んだことや感じたことを綴るのがポイントです。

私が学んでいた養成校では見学実習の際にも出すように指導があり、だいたい1週間程度お世話になった際は、お礼状を出していました。

3.作業療法士(OT)がインターンシップに参加するメリット

ここでは、インターンシップに参加するメリットをいくつか見ていきましょう。

仕事に対する理解を深められる

インターンシップをすることで、実際の作業療法士の仕事の理解を深められることが最大のメリットです。施設の雰囲気を知ることができ、OTはもちろん、OTに関わる理学療法士(PT)や言語聴覚士(ST)、看護師との連携なども見学できることがあります。

説明会やOB・OG訪問では中々知ることができない、実際の現場で働く先輩OTの声を聴くことができ、今後の就職先を決める参考になることもあります。

自分の見学してみたいと感じる施設を選ぶことができる

OTになるためには、臨床実習を受けることが義務付けられています。しかし、実習先の施設を選択するのは、あくまで養成校の教員であり、自分の希望が通ることは難しいでしょう。県外の施設に実習に行くことも珍しくありません。

その点、インターンシップでは、施設を選ぶのは自分になります。自らが就職を希望する施設が実施していれば、作業療法場面を知ることができる絶好の機会になります。

また、通常の施設見学では1時間程度で終わることも多いですが、インターンシップなら丸1日見学・体験することができる場合が多く、より理解を深めることができます。そこでの経験は、のちの就職活動にもプラスの経験になるといえます。

作業療法の現場を知ることで、勉強のモチベーションアップにつながる

作業療法の現場を知ることで机上の勉強と現場の知識が結び付きやすく、その後の学習にも良い影響を与えます。

OTの国家試験は、基礎知識だけでなく臨床知識(実地問題)も出題されます。インターンシップで得た知識が必ずしも国家試験に出るわけではありませんが、勉強を進めるにあたり理解しやすくなる可能性もあるといえます。

また、実際に作業療法の現場を知り、「こんな職場で働きたい」「こんなOTになりたい」と前向きに感じられれば、今後の勉強のモチベーションアップにもつながります。

就職活動に活かすことができる

場合によっては、インターンシップ自体が採用活動の一環になっているケースもあります。インターンシップ中の行動や姿勢が評価され、面接や内定につながることもあります。

また、直接就職につながらなくても、実際に仕事を見たり参加したりすることで、自分の将来のOT像が明確になり、面接のときに志望動機を伝えやすくなりします。

5.まとめ

作業療法士(OT)を目指す学生さんにとって、作業療法の現場を知れるインターンシップは絶好の勉強の機会でもあります。

実習と違い、自分でインターンシップ先の施設を選択でき、実施期間も短いものから長いものまで幅広くあるので、自分のスケジュールと調整しながら、無理なくインターンシップに参加することができます。

また、様々な施設を見学し知ることで、のちの就職・転職活動の参考になることが大いにあります。ぜひ、この記事を読んだ方がインターンシップに興味を持っていただき、「インターンシップを受けてみたい」と感じてもらえると嬉しく思います。

不明点があれば、是非PTOT人材バンクのキャリアパートナーに遠慮なくご相談ください。
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